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Showing posts from March, 2020

#73. Talia Lipkin Connor

  2017年CSM BA卒業コレクションの学生デザイナーの一人としてTalia Lipkin Connor のコレクションが発表された。 そこからのファーストコンタクトから1年後くらいか、彼女からの返事がきたのは。 しかしそのあともとんとん拍子とはならず邪魔も入りましたが、2020春、Talia Lipkin Connor披露目と相成りました。 いつもおんなじようなストーリーを書いている気がする。でも事実なのでね、なんでもそんな簡単にはいきませんよ。時間がかかります。 今回はその卒コレより2型。 分厚い縮絨ウールが魅力的なポジションに対し今の時期には少々ヘビーだったため。 次の20AWまで待ってフルコレクションでのスタートとも考えたけど、Taliaちゃんはすでに新しいコレクションを発表済み(これもまたあとで) なので、ASAPいまできる物を。 このコレクションには、 Taliaちゃんの祖国アイルランドへのリスペクト、希少産業後継の想いがベースにある。 かつて栄えたこの国の繊維産業、縮小を続け工場も減り、現存する工場は主にクチュール専門として稼働しているそう。 彼女はスクール最後のコレクションを製作するにあたり、実際にこれらの工場へ直接出向き“本物の”ファブリックを調達したらしい。 アイリッシュリネンにアイリッシュウール、その中に挟まれたナイロンに至るまで、徹底して「メイドインアイルランド」に拘った。 そんなさすがの素材に劣らない彼女の渾身勝負のクリエーション。 ジゴスリーブやギャザー、プリーツ、ハンドデコレーションなどのボリューム感あるトラディショナルフォーク。 また至るところに段階的な切替を用いているのだが、これがセオリーに沿っているのか反しているのかが非常に微妙なのです。 自分にはフォークロアというよりむしろ現代的に映る。 古典的な印象派の絵画をグラフィックでモザイク化したような感じ。伝わるか。 どちらの角も立ちすぎず、しかしどこかに漂う違和感。 激しい上流から次第に穏やかな下流へと、細く長く流れは確実に続き最後はまた少し勢いを増し海へと流れ出る。 CSM学生、この切替の多さははたぶんKikoの影響が大きいのかなと思う。 でもTaliaちゃんの服は切替のバランスが独特で、ないところは一切ない。ステッチさえな

#72.DZHUS

  DZHUS、AW20すごかたな。リックだな、もう。レディースでリックできる人なんてこの人しかいないだろ。 ということで、SS20はALGORHISM -問題を解決するための方法や手順- 問題、課題、超えるべき山を与えてくれるDZHUSの服。今ナウ入荷しております。 今回も覇者3点。毎回少ないですがね。 これまでDZHUSのコレクションをコレクトしてきて感じることは、“流れ”です。 周期的なホップステップジャンプがあって、(ホップとステップはどっちかが省略されることもある) なんと言うかな、1シーズンではなくて2,3シーズンで完結されるような。その前後にももちろん流れがあるけれど。 私はこのSS20は“ホップ-ステップ”に当たると思った。 この前のAW19はまさにジャンプで、前シーズンまでの提議や仮定への解答として爆発していたな。アレも凄かった。 そしてまたリセットして新たな課題へと、SS20は非常にフレッシュで処女的なコンフージョンが漂ってる。 ネックラインのコンストラクト、カラーブロックでの構成は新しい進化への問題定義かのように。 ジャンプする上での重要なこのコレクションは、複雑な手法、応用は一切削ぎ落とされて定義だけがクリアに表現されていて私はとても軽やかで知的で好きだ。 それは、「服」としての完成度が高くなっていることに繋がる。 仕立て、そして生地も春夏に準じてなんとも心地よく。 彼女がこの“差し引き”がこんなに上手とは意外です。 正直はじめはこのコンセプトに縛られた継続、展開は不可能だと思っていたけど、そんな考えは野暮でした。 ブランドは確実に進化していて、それはIrinaのこの差し引きや最初に書いたシーズンを超えてエピソードとして構成していくやり方(これは私の推理ですがたぶんあってる)とか ブランディングのセンスが、クリエーションの進化を支えていると思う。 ちょっと壮大なことを書いてしまった。のはネクストを今さっき目の当たりにしたから。 次は“ジャンプ”ですよ。ふふ。