最近あるお客様がDe Pinoの服を見て言った「シュルレアリスムのアートを見ているようです」という言葉がシンプルで的確でとてもいいなと思った。自分の中のDe Pinoの世界観を後押ししてくれる言葉。
シーズンを重ねるごとに増すこのブランドの非現実性に私は興味があります。ファッションの流れの中でこちら側に向かうことは商業的な安定よりも自己の美学を追求している表れだと思うからです。
ビジネス的に動くことが悪いということじゃなく、ビジネスを見据える段階がブランド毎に違うと思うので、タイミングとかやり方含め、その舵取りが重要なんだと感じます。
De Pinoだってそこは考えているはずで、その上で今はこちらに集中しているのかもしれないし、または別の何かを見据えているのかもしれない。
24SSのDe Pinoは着てくれる人を選んでるようでその媚のない佇まいがいい。
無駄がなく記号的で、確かに芸術的な視点を含みます。
さてこれを着るのか着ないのか。これは「ファッションはアートなのか」論争へと繋がっていく可能性を秘めている。いち側面として。
もちろんこのコレクションは着れる。服として真っ当に成立しているし洗練されている。だからすごいんだ、とハッとする。
私はこれをファッションとしてやってくれたDe Pinoを尊敬しています。
夢を見せてくれるブランドはそう多くない。この規模では更に。
次は、次は、というのは酷だ、今のこれなのだ。私はわかった。