先月の旅の途中、Linda Kokkonenに会いにフィンランド、ヘルシンキに立ち寄りました。
Linda Kokkonenを知ったのは2年くらい前で、彼女の卒業コレクション(ショー自体は2019年)を見たとき。
2年かけてLinda Kokkonenに少し近づけてきたのかもしれない。
なぜ今なのかはわかるようでわからないけど、でも絶対に今だと思う。流れはあるし間違ってない。
と思ってLinda Kokkonenにコンタクトをとった。
するとこの9月に初めてロンドンでプレゼンテーションを行うとのこと、私はその翌週がロンドンの予定で残念ながらショーを観ることは叶わなかったが、へルシンキで運よく会うことができた。本当によかった。
Linda Kokkonenは、ゴシックロマンティックなブラック系に傾倒するかと思う。
もう一つ、ブランドのコアとなるビジョンがサステイナブルだ。
徹底的にアップサイクルを実践していて、使用するマテリアルのすべてがヴィンテージピース、デッドストックファブリックからの調達はもちろんのこと、基本がオーダーメイド、また顧客ごとの既存品へのカスタマイズ、リペア、レンタルサービスといったことも積極的に取り組んでいる。
こんなにも確固とした持続可能性へのビジョンと責任を持って、所謂アップサイクルブランドではなく、ハイエンド、ラグジュアリーブランドとして新しいビジネスモデルの確立を目指していると知り、私は本当に素晴らしいと思った。
若手でも無名でもどんな位置にあっても、ファッションの歴史、さらに先端を見据えて活動する人が私はとても好きというか心から尊敬しています。
De Pinoもwan shan lingも、そしてLinda Kokkonenもそうだ。
これは単にアーカイブデザインを参考にしたりパクったりすることとは全然違う。
自分自身がファッション史の一部として、そこに貢献すること、波風を吹かすこと、そういうビジョンを持っているということです。
挙げた3ブランドはそれぞれ別のやり方をとって動いている。ちょっと長くなってしまう内容なので今はやめておくけど、自分にはとても大切な感覚です。
Linda Kokkonenは、デザイナーのLindaとパートナーのLauraのデュオです。
Lauraはトラックメーカー、DJであり、Lindaのクリエーションのサポート、セールスや顧客対応を行なっている。知的で優しくとても素敵な2人だった。
Lindaは黒しか着ない。故に黒しか作らない。
学生時代は白や赤なども使っていたそうだが今は黒だけ。黒は死を暗示する色、彼女のもつ死生観が根底にあるという。
このお話からも感じたが、非常に思想的でストイックな美学を持っている人だ。
サステイナブルへの強い信念はフィンランドという国の自然環境や社会民主主義的な国家体制もきっと関わっているんだろうな、と思う。
前述の通り、Linda Kokkonenは基本的にオートクチュールブランドです。
RTWピースもあるが少量で限定的なもの。なので正直なところ今回その場で買わせてもらえると思っていなかった。でも買えた。
なんとクチュールピースまでも買わせてもらうことができた。
アンティーククラスの希少性の高い生地に限りがあり、また初めてのストッキスト(しかも遠い国)として最高の完成度の1着を、Lindaは譲ってくれました。悩みに悩んた末に託してくれたその姿からは、彼女が作品をどれだけ深く愛しているかが痛いほど伝わりました。ちょっと泣いた。
本当にありがとうと思うし、この5着を私も大切に届けたい。
言うまでもないがオールハンドメイドの膨大な量のディティール、緻密で大胆なテキスタイルレイアウト、劇的なデストロイとハイエンドのクチュールワーク。写真の何倍も特異です。
余談ですが、今回の旅ではLindaの通ったアカデミーの在学生のコレクションも観ることができた。私は本当に驚いたのですが、コレクションとしての完成度がみんな高すぎる。
テキスタイル、ニット、メタル、デジタルワーク、プロダクト、、様々な技術を持ち的確にその技術を配しながら、コンセプチュアルで魅力的な作品を作り上げていた。
先生方のサポート体制も厚く、教育水準と自由度の高さを感じた。ここには未来がある。
豪華客船にも乗れて聖地巡礼もできたし初めてのヘルシンキとても良かった。