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Showing posts from May, 2023

#145. De Pino

デザイナーGabriel Figueiredoが2020年にフランスを拠点にスタートしたブランドDE PINO パンデミックの激動をエネルギーに換えて。 幼少期の彼自身の服のと関係性と、クチュールの美学というふたつのクラッシック性を核に、素朴な職人技で心地よい規模感のコレクションを私たちに魅せてくれる。 大きかったり小さかったり。 隠れてなかったり、隠れてなかったり。 De Pinoのスケール感はとても独特です。容赦無くでかいし小さい。あと隠れない。 それは記憶の脳内変換から来ていると言います。 子供の頃に母親のハイパーフェミニンなナイトドレスに少年の身体を収めたあのフラジャイルなアンバランスさは、記憶の中で絶え間なく自由にその強弱が変化してドラマティックに再形成される。恰も正しい記憶として。 ノスタルジックでデリケートなのだけど、脳で起きる現象をデザインソースに起用したというところが面白いなと思った。 ある意味でバグをデザインに変換しているという点で非常に先見性がある。 無邪気なフリースタイルに適切な気品と成熟性、実際に彼自身非常に影響を受けていると語っている、クリストバルバレンシアガやマドレーヌ・ヴィオネといった偉大なクチュリエ、クチュリエールの手仕事に触れて培ったバランス感なのだろう。コレクションピースはもちろん、ビジュアルなど見せ方も含めて。 手仕事といえば、De Pinoのクラフト性に私はとてもオリジナルを感じています。 特にこの人のダメージの表現が興味深いです。 ここにちゃんと自分を一回通しているというのが素敵だなと思ってしまう。手を加えるということ。 彼はよくヴィンテージのサッカーユニフォームだったりスポーツウェアを身につけていて、その着方がすごくよくて、こういうところにGabriel本人をとても感じる。 表現の中に人を感じられるということは結構重要だと思う。 と、当たり前のようなことを思いながら店を眺めてみたら、個がビシビシ飛び交っていて多幸感に満ち溢れる。 人から生まれたのだ、ということ。少なくても今、ここでは。 そうです、De Pino。 まだまだ可能性を秘めていると思うし、これからどういう風に転換していくのだろうか、どちらへ向かうのだろうかと、とても興味があってワクワクする。何せ脳は宇宙だから