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Showing posts from March, 2021

#96. LUNA DEL PINAL

  中目黒は当然のように桜が咲いて、当然のように人が溢れる。 どっちも止められない。 下は賑やかですが5階はいつも通り。こんな場所でやっているデメリットはありがたいことにひとつもない。悲しいと言うべきか。 そんなことはどうてもいい。 LUNA DEL PINALがやってきたんだから。 言いたいことも言うべきこともたくさんあるのだけど、そんなことしてたらいつまで経ってもこの一話が完結しない。 でも書きたい。これが自分の責任だから。 20AWはスキップしてこの21SSに全力を投入したGabrielaとCorina コロナもあったりいろいろあって、現在はGabrielaはロンドン、Corinaはグアテマラ、別々の場所にいる。 別々の場所で2人によって生み出されたデザインは、全てCorinaのいるグアテマラで形になる。 この21SSで、彼女たちはLUNA DEL PINALの“NEWNESS”のかたちに真剣に向き合いました。 ブランドを始めた初期のディレクションから徐々に変化を続けながら、今回このシーズンは彼女たちの中で重要な転換点となったようです。 前を見ている。これまでの歩みを振り返る隙は捨ててでも。 私はそれを、当然ながら尊敬し、尊重します。 2人のストイックで真摯的な考え方、行動に、私はいつだってYESと言いたいし理解できる自分、店でありたい。 そんな熱い気持ちを持っています。だから、ちゃんと伝えたいのだけれど、やっぱりモノが語る言葉には敵わなくて。 だから見て欲しい、いつも同じです。 服の表情、触れた肌触り、匂い。 これまでもそうしてきたように、GabrielaとCorinaはまず、服を形成する生地を生み出します。 この21SSプロジェクトをスタートする前、2020年の初旬、世界がロックダウンを迎える直前に2人はインドへと旅に出ました。 完全なるカントリーサイド、逃亡者のように何もない地で過ごした時間をこのコレクションへ投影した。 インドでの経験をグアテマラのクラフトマンコミュニティへと持ち帰り、昨年のクライシスの中で新たに興した支援プロジェクトを通し、ブランドの「今ある発想」をもってこのコレクションが成り立っていることをまず、知ってください。 これまでの

#95.VAILLANT STUDIO

  はじめてのVAILLANT STUDIO(ヴァイヨン?ヴァイロン?ステューディオ) この21SSがファーストコレクションとして本格的なデビューとなったパリジャンAlice Vaillantによるプロジェクト。 元々はバレエダンサーだった彼女。パリのオペラ座バレエスクールで幼い頃からプロフェッショナルにバレエと向き合った。 そこからのファッション・・・というのもバレエ時代から衣装や装飾への興味が強く、自然な流れでそちら側への道へと繋がったようです。 服を作る上でもやはりバレエからインスピレーションを受けるようで、しかし単に表舞台のそれだけではなく、相反する裏、日常やアンダーグラウンドへのアンビバレンスな視点とともにデザインを興す。全てはつながっている。らしい。 更にはアップサイクルの観点をも持ち合わせるなんて超ハイブリットだな。 バレエ、ストリート、アップサイクル。 なるほど。たぶん繋がっているんだろう。 なんとなくだけど、このコレクションは『流れ』みたいなものをインスピレーションとして強く持っているのかな。 エフェクトのような流線的プリントだったり、 切替のパターンワーク こちらはヴィンテージのLevi's を解体して作られたアップサイクルデニムパンツ。流行ではあるが、変にやりすぎたやつより断然かっこいいし普遍のスタイルとして充分に着れる説得力と雰囲気がある。 生きてたら ハリーディーンスタントンおじいが履いてたっていける。 そしてこのワインディングスリーラインズ。 これかわいいな。色もデザインもすごくいい。 憧れのユニフォーム感を出してみたいよねー。 これがファーストセールスとは思えないほどに製品レベルは高かった。デザインから生産、副資材まで抜けなくかんぺき。 少々視点が多いけれど、バランスは後々とっていけばいいわけで、今は可能性を広げることをしてったらいい。と、自分にも言い聞かせる。

#94. あの白とこの青

  これに心を奪われたんだった。 初めてGABRIELA COLL GARMENTSの服を見たとき、余りの白さにたじろいだ。白すぎてもはや光っていた。ように思う。 SERIE NO.2を構成した白と青。 後々、数年後にガブさんとお話ししていて彼女は実はあの白には満足していないらしい。そうか、私にとっては特別な白だよ。 確かに生地自体のクオリティは今彼女が使う生地の方が断然高い。そりゃそうだ、当時はそんな〇〇ピアーナさんとかの生地なんて使えるわけないから。 決して愛想が良いとは言えない、何色にも染まらないんじゃないかと思わせる。白のくせに。 そんなことに思いを馳せてみたものの、あの白はもうない。彼女もこの先使うことはないだろう。だから青。 いや、正確には「あの青」も、ない。 なんだよ何もないじゃないか。 いや、何もないわけでもない、青がある。 あの青じゃなくて、この青。