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Showing posts from August, 2020

#84.SITUATIONIST AW20/21

  SITUATIONIST今シーズンもとっても素敵です。 まだ暑いのでコートは出してませんが、コートが見たい方はコートと言ってください。 “SituationistとCasimirは、何年にも渡って満足感を得られるように作られた唯一の衣服を生み出しました”のです。 だってそう書いてあるもん。なんてエモーショナルな翻訳なんだ。 そう、今回はいくつかカシミールさんのご希望で作っていただいた。 まずはこちら。 いいだろ。これ。 サテンのアウターは今年絶対にほしいと思っていました。 黒かダークブラウンのシルクサテン、迷ったけどやっぱり黒かな。 リクエストに快諾してくれたいつも優しいチーム。しかもこのジャケットで作れたことは非常に満足しております。 だってね、ほらごらん。 ボックスショートジャケットonノースリーブテーラードジャケットでした。 どのパターンもいいな。袖なしで中に着るなんて夢のようなこともできちゃう。 可能性は×3イコール無限です。 オーバーショルダーに大袈裟なピークトラペル、ピックステッチは幅広故に妙な違和感が生まれ、ブランドのエッセンスである無骨ヴィンテージを体現します。 サテンとの親和性が高い。 更にはこのダブル両玉縁ポケット。 こんなのかなかな見ない。かっこいいなーーー。 因みに一緒に着てるストライプシャツも“何年にも渡って〜”のやつです。 でも別にエクスクルーシブが特別だとは思いません。元より劣ってる別注なんていっぱいある。 コレクションに最高があればそれを買いたい私は。どこが何着買おうとね。 はあ、このブランドを一回で書くのは無理があった。 ということでつづく。

#83. Mazarine

  約束どおり書きます。20FWのこと。 Mazarineについて。 パリベース、新進系に属するものの、オートクチュール上がりのデザイナーHélèneの作風はスピード感とドレッシー性が混在した独特なフィニッシュを迎えます。 このブランド名は、現存するフランス最古の公共図書館『La bibliothèque Mazarine』からいただいたそう。 といっても直接この図書館と関係があるわけではないけれど。 毎シーズン本や神話など、ひとつのストーリーをコレクションテーマとしてインスピレーションを形にする。 20FWは “LE PETIT PRINCE”(星の王子さま)です。 ほお、慣れ親しんだ世界的ノーベルじゃないか。 よしよし、とかつて読んだストーリーを思い浮かべながらMazarine20FWコレクションに向き合ってみる。 なるほど、愛すべき星の住人たちや動植物が出てくるというわけではないらしい。 王子さまが愛するバラをアイコンピースとして、王子さまが着ているグリーンスーツを多方向から考察しコレクションの展開としています。 確かに、制服やユニフォームのマルチミックスといった印象。 このブランドのシグネチャーである金属バーツやボタンは、今シーズンのテーマに則し宇宙に輝く無数の星たちをイメージし、これまで以上に煌びやかにそして大量。 ギラついたデコレーションは好きなヘビーさとちょっとだけ違った、けどコレクションの強弱によるライトピースが個人的にとても気になりました。 点で取ることはデザイナーには少し申し訳ない気持ちもありますが、どうしてもこの点だけほしい、ということも大いにあります。 なのでごめんね、といって買わせてもらった。 でも自分にとって、“これぞ今を射抜いている”とグッときたピースをとったので許して。 一番好きなのがこのラガーシャツです。 ラガーシャツなんて最高のチョイスじゃないか。ティッシジバンシィが蘇る。 ビスコースベースで特有のドレーピーな弛みの中に凛と美しくとどまるドレッシーなシャツ地の襟と前立てとカフス。 きらりと輝く流星は宇宙の銀河系に飲み込まれやがて消える。 この星たちはただのお飾りじゃなくて堂々とボタンです。上4点は流れに沿ってカーブを描きつつファンクションとしても役割を果たします。 オーバ

#82. 20FW

  ひとつ言っておく、20FWは、はっきり言って、少ないです。 だって買えなかったのよ、なんだか。 理由はいくつかありますよ。でも言い訳しません、カシミールさんこれで勝負します。はい。 ということで、ここはもう小出しにするしかない。 Instagramなんて載せてやるか、という気分です。 でも載せるでしょうが、自分の首を絞めない程度に。 そのくせ続々入荷してくる、コロナに負けずみな優秀だ。 がっかりしないでください、少ないですがなかなかいいセレクトです。ぜんぶほしい。 次から書きますので。

#81.THINK OTHERWISE

  New York, ブルックリン拠点のブランド、Lou Dallas デザイナーRaffaellaがつくる服は、ロマンティックかつ社会派なアティチュードで成立し、ちぐはぐなようで一本筋が通っている。 大量消費、自然破壊、、、人間による地球の汚染に“NO”を掲げ、アップサイクルな素材と手法で、ファンタジーと現実の間のギャップを埋めるべく、持続可能なスタイルで服る彼女。 ファッションを学とせず、型を持つことなく、あくまでも自らの考えと信念の表現手段だ。 Raffaellaは、映画『The Fifth Element』でゴルチェが放ったコスチュームデザインに強く影響をうけている。 アンリアルなデザインを、すでに実在する、誰からも不要となった素材やパーツで仕立てられた服こそ正にRaffaellaちゃんのDNAなのだ。 ブルックリンのダウンタウンに生きる人、状況、社会に目を向けそれをすべてファッションにまっすぐ投影するエモーショナルでパンク要素の強いクリエーションは、 フェミニンで可愛らしい表層の奥にある強い意志と、そしてセンスがいい、意外にもモードだから、こっちもやりたいとずっと思っているんです、ぜんぜんきらいじゃない。 でも今回はTシャツです、あとピン。 かっこいい、単純に好き。 社会派レーベルとして、もちろんオーガニックコットン、ブラックは半分がヘンプです。(ヘンプは環境に強くコットンに比べて遥かに使われる農薬が少ない。) この製品とは思えないペラさが非常に着ていて気分がよい。 グリーンはひとつひとつRaffaellaちゃんが染めている、ぜんぶ色が違う。混ぜる前の原色が飛び散ってる。 と、安定感はないですが、そんなのはどうだっていいんです、「表現物」ですからね。 THINK OTHERWISE そう、考えないといけない。 自分はシステムに組み込まれていることに気づくこと。その箱の中からいったん外に出て考える。 当たり前のようにある富裕による貧困への支配 −SAVAGE CAPITALISM 戦いはすべてを解決しない−END MILITARISM 背中に背負って、胸張ってしっかり考る。 マジカルガールRaffaellaちゃんの政治にまで突っ込んだアティチュードをこの夏こそ着た

集中

  8月だって。ふん。 このクライシスのなかで私たちは考える。 これまで当たり前だったことが心底尊いものになり、ここにあったものがなくなった。 誰もが平等に与えられたこの状況で、ファッションを想う人は全員が今とこれからのファッションを作っていくと思う。 着る人もつくる人も間の人も。 21SSのコレクションは紛れもなく、この世界を生きた人が生んだものです。 どんな気分なのか。何が着たいのか。何を伝えたいのか。 この状況があとどれくらい続くのかわからないけど、 ここからの流れは絶対に見逃せないと思っている。 ファッションには良くも悪くもシーズンが存る。だから流れが生まれるし必ず象徴が浮き上がる。 自分の店で、21SSをどうやって、どんな風に伝えていけるのか、まだ見えてきていない正直。 でももう始まってる。みんな戦っている。そして夢見ている。 このEraを体験した感覚者たちが、これまでのファッションの流れの中で系譜としてどんな表現をするのか、 手段も含めて。 みんながファッションで夢を形にしてくるぞ。 集中しよう。自分がどこにいたってそんなのはどうだっていい。