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Showing posts from August, 2018

#14. wan shan ling

Mask man.   迷ったけどやっぱり書くことにした。 記録として。証として。 wan shan ling の新しいこの服は心に滲みる逸品です。想いとは裏腹にさくっと。 この美しきマスクマン。 マスクマスク言ってますがプロレスリングの方じゃないです。 エンシェントの顔のオブジェから持ってきているとのこと。 ふー溜め息がこぼれます。はてビーズ何玉使ったんだという。手仕事を匂わすこの歪なビーズワークに広がるイマジネーションをぜひ。 それに触れるとちょっとひんやりとした心地よい重みが古へと誘います。 そしてこのお顔を支えるシャツがまた。 メンズのディティールをこんもり盛り込まれたギークなシャツなのです。お顔に目がいきますが、洋服として素晴らしい。 イメージしてください。 スタンドカラーのコンパクトでタイト目な襟元。 ダブルカフスに、肩山はソフトにギャザーを寄せてドレッシーにエレガントに。 あくまでもメンズのエッセンスを嫌味なくレディスに重ねたこの袖は私にはとてもセクシーに映ります。 背中には細くてひょろりと長いハンガーループ、縦付け。ヨーロピアンヴィンテージに準えて。 ボタンは品の良いシャイニーな高瀬の程よい存在感でお顔との相性が最高・・・と、あれ、ちょっと不思議なことに気づきましたでしょうか。 これ、オープンシャツなんです。プルオーバーではなく。前開きます。 シャツの機能を生かしたお顔の在り方にはブラボーと讃えたい。美しい横顔にはこんな仕掛けがございました。ブラボー。 この重量感のオブジェクトがこの軽量感のシャツにのせられる意味を考えずにはいられません。なんてドラマチックなんだろう。 そしてこのシャツの凛とした佇まいは、ぽっと出の気配ではない。品がある。とても。 いつかどこかで呟いた、エスタブリッシュなブランドにしか成し得ない現象が、この1着の上で起きていました。 Sold out.

#13. DZHUS

DZHUS   Casimir Pulaskiday.ではおなじみ、ウクライナのコンセプチャルレーベル『DZHUS』ジュスです。デュス。ヂィュス。 デザイナーは優しく才色兼備な女性Irina.このべっぴんさんからあんな服が生まれるなんて・・でも奥に光る研ぎ澄まされた芯の強さはすごい。 毎シーズンワンダフルですが今シーズンはもうお目目飛び出る、進化してます。 3シーズン目にしてようやく慣れてきたというか追いついてきた。彼女のクリエーションに。 初めてDZHUSの服を見たとき、正直まだいまいち掴めきれずにいたのですが、なんかよくわからないけどこれは私やるべきなんじゃないだろうか、と謎のアドレナリンが湧いた。 DZHUSのコンセプトの根っこにあるのが Transform -変換-です。1着の服が何通りにも、、ということなんですが、決して日本人大好きな”着まわし術”を解いているわけではない。 彼女のトランスフォームはメカニカル、ロボット並みです。 と、ここまでは前シーズンまでのお話。もちろん今シーズンもトランスフォームは健在ですが、私が心から感動し、お伝えしたい服はこちら。 Disruption Dress 分裂ドレスという名の通り、分裂された各パーツが恐ろしく巧妙に結合されている。 まず前身頃は真ん中からパッカーンと二つに裂かれ、裂き目からデニムの白糸がほつれて渡っていて、、と思われた方は残念、違うのです。 この糸はデニムの糸ではなくて、別の糸が一本一本縫合されているんです。しかも裂け目の徐々に広がる幅に合わせて糸の長さもアレンジされている芸の細かさ。 伝説的名盤の波形を彷彿とさせる、、ラフもびっくりです。 2つ目の分裂は、袖。この袖はVにくっついているようでくっついていません。くっついてはいるのですが肩線の一本です。あとはぶらぶらしています。 この概念には脱帽です。こんなにもアームホールが丸見えな服見たことがない。誰かやってたでしょうか。チャラヤンあたりやってたのかもしれませんがちょっと記憶にございません。 しかもチャラヤンは脇開きだからある意味その上をいっていると思う。 そしてこのVからスカートへと下り、行き着く先はポケット。Vの正体はポケットでした。ダーツと見せかけて。 正面から見るとさぞ狭く、指第二関節までし

#12.wan shan ling

wan shan ling の服   デザイナーについては多くを語るつもりがないのですが、今回初めてのお披露目の場がCasimir Pulaskiday.であるということ。 すべてがハンドメイドの一点物。 デコラティブな要素をパターンとの折り合いを付けながら重ねていく、その手法に大胆さと臆病さがあって興味深いのです。 さて、現在入荷済みは2着です。もう1着も間もなく入荷予定。 まず、ウールガーゼのチェックのブラウスは、ウォッシュかけられキモチ縮絨した表情で、ベイグな色味との相性が良い。 このシャツにはデコラティブな要素こそないのですが、パターンナーならではの繊細な味付けが見て取れます。 リラックスな印象ですが、センターに垂れ下がる前たてがキモですね。 ボタンとボタンホールがご丁寧に密々とございます故に、付け方、外し方は無限です。その数19個。煮え切らない数ですが。 このボタン好きです。いいボタン。ダブルカフスっていうのも粋です。 見返しをたたく謎のステッチは、謎です。 衿と台衿の切り替えにあるブランクも、謎です。 ただどちらもディティールとしては面白い。なにか意図的なものを感じます。 着るとまたよいです。ただ着るときスマートには羽織れません。なんせ前たてがびろーんなってるからもたつく。 着方は上手に教えますね。 色味がセピアでいて彩度が高いので、イロモノと重ねると面白そうです。 個人的にはワシャワシャ着てワシャワシャ洗ったらいいんじゃないかと。いい感じにこなれ感がが出てシワも増え、ミドルエイジを迎えた辺りがこのシャツの花盛りと言えましょう。 そしてもう一点、ラップスカート。 目を引くはこのプリーツ。と裾に連なるビーズ。 もちろん手作業にて施されたこのディティールは、重量感をうまくコントロールして右側のみにパッチされ、さらに合わせのボタンはナットボタン、独特な含みが漂います。 ビーズワークは彼のシグニチャーになりうると思う。(もう1着がまた、スゴイ・・)ハンド刺繍ならではのトライバル感、この完璧に操作されたスカートに歪みを与えている。意図的か否かはわからん。 プリーツは前端と後ろ端のみがくっついていてサイドのプリーツは軽やかに動きます。 バックのベンツも深めなのでダッシュもできますよ。 このス

#11. GABRIELA COLL GARMENTS

New Season.   新しい季節を迎えます。お外はまだ更新前ですが、さっさとアップデートです。 そう、お休み明けました。久しぶりのお店、やっぱりいいな。 まずはこちらを.。 GABRIELA COLL GARMENTS スペイン、バルセロナから、素晴らしいガーメンツ(服)がやってきた。 うまく書けるかな。想いが強すぎる、、、はい、では書きます。 Gabrielaの服はいつも凛としていて派手さはなくてさりげないんだけど、よく考えてみると絶対的に他にはないと思っていてる。 どこかのアカデミーで学んだりメゾンのインターンを経験したりということなく、彼女独自のセンスで、身体と服の関係を模索しているGabriela。 かわいいな。 Gabrielaの服はどちらかと言うと直線的でメンズに近い。 直線的でメンズに近いんだけど、極めて女性的に映ります。ただマニッシュなスタイルを好む女性像ではなく、あくまでも女性として、強くしなやかで、自立した女性を描いているのでしょう。 まさにGabriela本人です。 直線的な服に曲線的な身体が収まった時、意外なほど無理がなく動きやすい、何よりシルエットが本当に美しい。 これは着たら納得します。自分の身体とは思えないこともよくある、くらいかっこいいのです。一度着てみて欲しい。 この秋冬、GABRIELA COLL GARMENTS は、イタリアのテキスタイルブランド、Loro Piana(ロロピアーナ)社のブラウンデニムを使ったコレクションを発表した。 Loro Pianaと言えば、男性ならご存知の方は多いかと思いますが、ビッグメゾンや高級スーツブランド御用達の老舗テキスタイルメーカー。 カシミアやビキューナで有名なLoro Pianaの作るデニムは、マイルドで柔らかく、言われなければコットン100%とは思わないほどエレガントです。 GABRIELA のベーススタイルである、ジャケット、パンツ、ベストにこのブラウンデニムを起用して仕立てられたこのコレクションは、パターン自体はこれまでお店でも紹介したブルーデニムやホワイトデニム同じですが、どこかテーラーのムードを醸し出します。 そんな、どクラシックを装いながら、パンツのベルトループは必要以上に長く、 すでにお店にはいなくなってしまったベス