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#1.Slow and Steady Wins the Race

Slow and Steady Wins the Race

Slow and Steady Wins the Raceは、ニューヨークのコンセプチャルレーベル。
個人的に、かなりの影響をうけて今の自分がいると思う。

デザイナーMary Ping は、いつも、ザ・クラッシック。
素晴らしくスタンダードでいて、ただ、根底にモードを感じるから不思議だ。
そんな彼女の提案は、ロジカルで、社会派コンセプチャルという印象。
彼女の芸術、文化、社会との関係性というか距離感は、ファッションは知的であるべき、と再認識させるクリエーションに繋がっていると思う。
彼女と会うと、ああ、彼女の服だけでいい、という衝動に襲われる。
  
この度お披露目できたKHAKIコレクションは、私がお店をスタートする2017SSにあるはずだった、、ようするに待ちに待ったのです。
幻に終わることもチラついたこのトレンチコートとパンツを、時を経てここでお披露目できることか心から幸せなことを伝えさせてください。

素材には、張り、艶、重量感のあるギャバジン、トレンチのオリジナルカラーを用い、エレガントで説得力大。
そこへきて、ディテールを緻密に遊んでいる!
台襟からぴょんと行きすぎた襟。
ポケットは左はウェルト、右玉縁。こんなに違うのに、意外にも一番目立たない。
腰まで伸びるガンフラップを留めるデカい釦はひっくり返し。

後ろ見頃を見てみると、トゥーマッチなラグランに気づく。
そのせいでストームフラップは申し訳ないくらい狭い。(これが着たときの浮きがとってもかわいい)
脇からたっぷりと取られ、微妙に短い袖のアンバランランスさにやられる。
重心は後ろ、どこか着物を思わせる。 抜き”というやつでしょうか。
  
そして私は気づいた。
脇に不自然あるボタンが替えボタンであることに!
普通は裏についているはずの替えボタン。 この人たちならやり兼ねない。


と、これだけの”パーツ”を装備しながら、まったくもって冷静です。
一見普通、(いい意味です!!)
これはすごいことだと思っていて。

ある人が言いました。
普通の服をおしゃれに着るのは、普通におしゃれな人なら割とできる。
でも普通じゃない服を普通に着るのは、本当におしゃれな人じゃないとできない。
本当におしゃれな人は、どんなにアヴァンギャルドな服を着ていても
普通に見える人だと。

私はこの言葉を自分の血に混ぜてあります。

それはただ足し引きの問題でもなく。
でも足し方引き方にもセンスがいると思うんです。
明らかに、”引きました” なんてのはぜんぜんかっこわるい。
その計算、ご自身入ってます?と言いたい。

話がずれました、そう、普通に見えるというお話です。
最初に戻りますが、それはMary Ping やチームのとる、あらゆるものとの距離感だと思う。
自分はそういう服が好きで、そういう服を着たいと思うので、
自分のお店にこの服があることを誇らしく思う訳です。

とにかく自由度の高いこのコートは、好きに着てくれ、と申しております。
どうやって着たって美しいのさ、と。

Timely and Timeless.
by Slow and Steady Wins the Race