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#5. 100% VAQUERA

VAQUERA
 
この人たちは、サイズ遊びがとってもやんちゃでよい。
毎回、何かを大きくしてますが、今期はジャケットにシャツドレス、リンカーン…ほう。

また、アイデンティティーへの危機感をテーマにした今期、二面性を呈したピースが目を引きます。
色、素材そしてサイジング。何も考えていないように見えて、それぞれのピースによって、手法がとてもしっくりくるから、きっと考えているんだと思う。

Half & Half のこのパンツ、デザイン自体は新鮮かと言えば正直そうでも無い。
ただ、このパンツにグッときてしまうのは、左右のパンツのドッキングの仕方が潔いということ。

左のスラックスと右のチノ。それぞれの特性を否定すること無く、微調整無く、ただくっついている。
ただくっつくために発生した『ズレ』を、表向きは変えずに裏で念入りに仕事してますね。

スラックスは股上浅く、ツータックでセミワイドに広がりながら美しく落ち、 チノはワークパンツらしく股上深く、たっぷりととられたわたりからキモチテーパードがかかりながらの短くとられた丈が更にカジュアル度を上げている。
更に更にこちらだけロールアップしても◎です。
ポケットだってそれぞれのスタイルに合わせて変えています。
スラックスの両玉縁の幅が微妙〜に広いね。

ファスナーはそれぞれの長さにきっちり合わせられている。
物理的にスラックスのトップまでしかファスナーは上がらないのに、チノサイドはトップまでちゃんとファスナーがございます。しかもはみ出るボタン分は控えて。
ベルトループがつけられない(ズレてるから)代わりにアジャスターありますし、それぞれにネームタグがつけられてるのはアメリカンジョークでしょうか。
素材の違いも一目瞭然。


こういう、わかりやすいデザインに助けられることってありませんか。私はあります。
ごちゃごちゃ↑で述べましたが、正直そんなのどうでもよくて、あまり考えすぎずに、ただわくわくしたい日に。
実際、Vaqueraは着ていて、持っていて気分が上がります。
テクニカルな部分での充足感というより、服に在るムードでしょうか。
遊んでるし。遊んでないとこの抜けの良さで服作れないと思う。

彼らの服にはすべてこう表されている、”100% VAQUERA"
これ見るとなぜか勇気が湧いてくる。大丈夫!とエールをもらって、いるような。
いつまでも、100%であってください。


画像引用:Vogue Runway