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#13. DZHUS

DZHUS


 
Casimir Pulaskiday.ではおなじみ、ウクライナのコンセプチャルレーベル『DZHUS』ジュスです。デュス。ヂィュス。
デザイナーは優しく才色兼備な女性Irina.このべっぴんさんからあんな服が生まれるなんて・・でも奥に光る研ぎ澄まされた芯の強さはすごい。

毎シーズンワンダフルですが今シーズンはもうお目目飛び出る、進化してます。
3シーズン目にしてようやく慣れてきたというか追いついてきた。彼女のクリエーションに。
初めてDZHUSの服を見たとき、正直まだいまいち掴めきれずにいたのですが、なんかよくわからないけどこれは私やるべきなんじゃないだろうか、と謎のアドレナリンが湧いた。
DZHUSのコンセプトの根っこにあるのが Transform -変換-です。1着の服が何通りにも、、ということなんですが、決して日本人大好きな”着まわし術”を解いているわけではない。
彼女のトランスフォームはメカニカル、ロボット並みです。
と、ここまでは前シーズンまでのお話。もちろん今シーズンもトランスフォームは健在ですが、私が心から感動し、お伝えしたい服はこちら。

Disruption Dress 分裂ドレスという名の通り、分裂された各パーツが恐ろしく巧妙に結合されている。
まず前身頃は真ん中からパッカーンと二つに裂かれ、裂き目からデニムの白糸がほつれて渡っていて、、と思われた方は残念、違うのです。
この糸はデニムの糸ではなくて、別の糸が一本一本縫合されているんです。しかも裂け目の徐々に広がる幅に合わせて糸の長さもアレンジされている芸の細かさ。

伝説的名盤の波形を彷彿とさせる、、ラフもびっくりです。

2つ目の分裂は、袖。この袖はVにくっついているようでくっついていません。くっついてはいるのですが肩線の一本です。あとはぶらぶらしています。

この概念には脱帽です。こんなにもアームホールが丸見えな服見たことがない。誰かやってたでしょうか。チャラヤンあたりやってたのかもしれませんがちょっと記憶にございません。
しかもチャラヤンは脇開きだからある意味その上をいっていると思う。
そしてこのVからスカートへと下り、行き着く先はポケット。Vの正体はポケットでした。ダーツと見せかけて。
正面から見るとさぞ狭く、指第二関節までしか入らないじゃないかと思いきや、左右の袋布がクロッシングしているためにしっかり手のひら収まります。

後ろはダブルジップのフルジップ。お好きなだけ開けてください。
全部開けて前後逆にも…着れた!羽織りとして、なかなか良いです。

一見とっつきづらいこの服、読み解いて行けば行くほど、気が利いていて理にかなっていることに気付く。そして意外と動きやすい。
DZHUSの服はいつだってぺったんこ。身体が収まり服となる。
私はコンセプトに支配されたDZHUSの服が愛おしいです。だってものすごくハイレベルなことをしている。誰もやらないことをしている。彼女にしかできない。
服の概念に反した、というか概念自体がない。イメージしたものをただ形にしていく。セオリーに囚われない、彼女ののやり方で。
黒いしシリアスに捉えられがちですが、そんなことなくて、とてもユーモラスでイージーです。
そうじゃないのもありますが、自分は服として成り立っているものが好きなのでそういうのはやらないんだけど、今回コートはやりました。これは人が着るという服としての使命を放棄しているかもしれない。めちゃくちゃ重い。ファスナー14本付いてるんだって。

たぶん、1シーズン目も2シーズン目もやらなかったと思う。3シーズン目だからやった。DZHUSの服にようやく追いついてきた証だろうか。
リスペクトを込めて。

ウクライナから服が届いて、私は改めてIrinaに感謝を伝えました。素晴らしい服を作ってくれてありがとう。一緒にお仕事してくれてありがとう。
そう思わせる服だ。

こんな店にある服じゃないな、笑。
でも、あります。

info@casimir-pulaskiday.com