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#32. Dreams and Hopes.

wan shan ling.

  ただいま2つ入荷してます。なにせ一個と一個なので。

久々にこの高揚感、というのがこのジャケット。

気の遠くなるようなあのビーズワークは無し。代わりに知的でデリケートなディティールワークに、手抜きも一切無し。

そもそも。
このジャケットは、ジュエリー作家、Bettina Speckner(ベッティーナ・シュペックナー)への愛から生まれている。
Bettinaについては言葉にするのが個人的に困難なので、気になった方は調べてみてください。
この漆黒なファインウールの胸元に、Bettinaの詩的でメランコリックなジュエリーを。はあ溜息、なんだか少女の気分です。このジャケットを前にすると。
まずこの生地が素晴らしい、ふっくら最高ビーバー、毛足の長さがエレガントです。
この生地を生かして、裁ち端は切りっぱなし。あ、手抜き!と思ったでしょうか。んなわけない。よくご覧くださいな、裁ち端すべてにハンドステッチで星留めがなされています。
そう、実はこの服にミシンステッチはひとつもございません。ひとつも。

肩線までも。これは星留め好きなLANVINでも見たことないって、デザイナーが自負しておりました。
モチーフの輪郭ももちろん星留め。この仕様により生地とジュエリーの流れが断たれることなく滑らかに、このビーバーちゃんの美しさを最大限に引き出している。
前開きはオープンコンシールファスナーで無駄な要素は完全に排除。よい。

ジュエリーの絵画の上にはスタッズが7個。

Bettinaのジュエリーによくお目かけする散りばめられた石のモチーフを再現しています。
スタッズは3サイズを配置。このスタッズが位置、サイズ共にまったくあざとさがないってすごいです。意図的であって極めてナチュラルに在る。

パターンについて。
アームホールは見た目よりもかなりゆったりととられているので着心地とてもよい。でも野暮さはないです。そのテクは袖口にある、実は絶妙に湾曲しています。着た時の印象が知的なのはこいつが何気に効いている。

後ろにベンツはないですが、その代わりに裾がこちらも湾曲しています。ヒップに被らないように。これも知的なディティールですね。

はてまた二枚袖によって後ろ姿に一筋の線が。二筋か。
裏地は見頃がコットンリネン袖はサテンと、このクラシカルな仕様もグッときます。


見るほどに、着るほどに気付くこのジャケットの仕掛けは、ただただ盛り込んでいるわけではない、とても巧妙に構成されていると思います。
計算高いと言えば聞こえは悪いですが、服においては絶対的に必要なテクニックです。ジャンルによりますが。
ファッションを諦めかけてる人はこの服を着たらいいと思う。
服しか見えない服バカが服(ファッション)を超えて美しいものを知ったような服ですよ、これは。
ファッションには夢も希望もあるんだよ。


詳細はお気軽にお問い合わせください。
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