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#35. PLAY.

NIKA TOM

  今からちょうど一年前、クロアチア・ザグレブより、NIKA TOMの服を迎えました。
マッドなベージュと黒で構成されたコレクションは、良い意味で無骨でノンケミカルな、そしてよくわかってらっしゃる服でした。
そして今年、新しい彼女のコレクションが届いています。

今回も無骨でフレンドリーでよくわかってらっしゃるんですが、艶のようなものが加わったような。コットンからレーヨンへとNikaの心が移り、彼女なりのエレガント。
今はレーヨンが気分いいって、言ってた。わかる、とても。

で、まずこちら。

コットンです。はい。だってコットンも好きですよ。
こちらのパネルジャケットは前作と新作との橋に立つ、コレクションにストーリーを作っている大事な奴です。
今回は、前作も一部入荷しました。一緒に並んでるのを見るとそれがよくわかる。
アンフィニッシュドをよしとした前作から、新作では最終までフィニッシュさせている。どちらも工数は変わらないけど、クラフトか、テイラリングか、の違いというか。
ただ、完成度は高くても彼女の服はしっかりと、抜け感があるのです。

このジャケットは意図的に抜け感が作られていると感じます。
それはね、大事なところを縫ってない。要所要所が完全に縫いとめられていません。点留め。

むず痒さが残るのですが、これによってNIKA TOMになっいる。チャラヤンぽいなって初見で思ったけど、向き合ってみるとちゃんとアイデンティティがあって、私はそういうものに価値を感じます。
パクってそれっぽい服作ってるブランドは吐くほどあるけど、そこにアイデンティティはあるのかい、と言いたい。
他の服も〇〇っぽいな、って感じる部分もあるんだけど、絶対的にNIKA TOMになっているのでこれは逆に強いと思う。だって〇〇に負けない“個”がある、対等だということだ。しかも一貫している。
服に戻ります。
左肩からは、また点で留められたフラップがバイアスに半面を覆います。空洞が良いアクションとイマジネーションを。

このフラップはそのままぺランとさせても右肩のボタンで留めても。トレンチ仕様。フラップだけ留めて前全開もかわいい。

裾の2連のベルトも、留めても留めなくてもクロッシングでも。

この服のボタン全てが同サイズなので、もうどこでも何度でも留めたり外したりし放題。好きにデザインしてみましょう。


初めてザグレブを訪れた時も、去年の2回目も、Nikaはいつも”Play!”と言う。服で遊べって言う。
Nikaのお母さんにずっと言われてたんだって。まずとにかく着てみなさい、着ないで判断しちゃダメだって。
私は感動するその言葉に。絶対そうだから。どんだけ服を見てきたって着ないと全てはわからない。良さも悪さも。


この部屋でこの人から生まれた服です。いいに決まってる。


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