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#48. Tihanaの帽子


  2017年の年末、もう1年半前か、クロアチア・ザグレブの Tihana Mikša Perkovićの3着のドレスがこの店にやってきたのは。

改めて写真を眺めながら、いろんな意味ですごいな。とてもとても考えて結果、私はTihanaから3着買ったんだ。

NikaTomに会いに初めてザグレブを訪れたとき、Nikaが紹介してくれたNikaより倍ほどお姉さんのお友達Tihana
  (左Tihana、右Nika)
Tihanaはとても知的で優しくてクレバーな女性です。深海のような、静かで荒々しく、そして哲学的で現象をいつもロジカルに見つめてる。
Tihanaはファッションデザイナーとは違う。これだと言える技術が私にはないけど、表現者であることは間違いない。
そして点で見てももちろんすごいんだけど、Tihanaは線で見たらもっとそのすごさに気づく。
テキスタイルというベースを軸に、様々なエキジビジョンやアソシエーションに参加し、オペラや舞台芸術、イラストレーター、パペットデザイナー、デザインアートの教育にも注力してきた。
自身のクリエーションにしたって、バウハウスの芸術家Oscar Schlemmerの造形と精神と体の関係をコスチュームに落とし込んだり、クロアチアの伝統や文化技術をモダンでパンクな彼女自身の解釈で表現したりしている。


彼女は常にフィロソフィーをもって、リサーチし、社会貢献を担って表現している。
こういう活動家としての一面を持つ彼女の表現は、やっぱりファッションとして片付けられないものがある。
クロアチアでファッション(コンテンポラリーな)を続けることは日本とは比べ物にならないくらいハードだと思う。TihanaもNikaも、口を揃えて言っていった。
コマーシャルでコンサバなものは別として、モードファッション文化、土壌がまるでない。ザグレブの街を歩いてもそれはよくわかる。
それでもファッションを、世界的に見てもアヴァンギャルドなクリエーションを続けているTihanaやNIkaはもう強すぎるし本当感動する。
だって2人とも、お互い以外にはいないって言ってた。日本じゃありえない。
書けばキリがないので、この辺でやめます。
Tihanaの新しいコレクションは帽子 “Mad as a Hatter"

ザグレブのギャラリーで発表された帽子たち。
以前よりハット作りを続けていた彼女が、今回新たに、伝統的な小規模製造技術を用い、急速に消えつつある“工芸”をリスペクトしたTihanaのモードの形です。

新しいエキシビジョンをやると連絡をもらって、Thanaのコレクションを見たときからずっと考えている。
自分は昔は帽子(ハット)を年間300日はかぶっていた。帽子がないとダメな人間でしたが、今はといえば365日イスラム帽をかぶっている。初代から数えたら6,7代目ほどか、小さいからすぐなくす。今のはドバイで買ったやつ。もう帽子とは言えない。頭。
頭部にデコレーションをもってくるスタイルをもう何年もやっていない。むしろ頭をコンパクトにするためにイスラム帽をかぶっている。
でもでもTihanaの帽子を見て、久しぶりに沸々としだしているのを感じる。
今改めて、帽子という存在について考えいています。今の自分だと帽子をどう扱うのか、なんかできるんじゃないだろうか、頭を真っ白にして考える。

キャップとかバケットとかは別として、ハットをかぶる人って100点にするためにかぶるようなイメージがある。以前の自分もたぶんそうだった。
今かぶるとしたら、減点としてかぶるのかな。
違和感みたいな。そういうものとしてのTihanaの帽子はもうある意味究極だ。デコラティブの方向とか、温度感とかも含めて。
自分のスタイルって無意識のうちに決まってきちゃって、セオリーみたいな、パターン化しちゃうとそれなりにこなせるけど、新鮮さが欠けてくる。
いつもちっさいパンツみたいな帽子かぶってないでがっぽりバランスを崩してみたい気持ちがTihanaの帽子を見て湧いてきた。
と言っても、ちっさい帽子はこれからもかぶりますが、それはそれです。不可欠なので。
警鐘みたいなものをくれたTihana、いつもいっぽ前を見せてくれる。

まあ、特に何もないのですが、帽子もないですし。
この先どうなるかはまだわかりません。また何かあればご報告します。

TihanaのHP
https://www.tihanamiksa.com/

恐れもせずに、ただのファッションとしてTihanaをピックアップしたらたぶんおもしろい、奇妙な、誰もやってない状態になるはず。