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#73. Talia Lipkin Connor


  2017年CSM BA卒業コレクションの学生デザイナーの一人としてTalia Lipkin Connor のコレクションが発表された。
そこからのファーストコンタクトから1年後くらいか、彼女からの返事がきたのは。
しかしそのあともとんとん拍子とはならず邪魔も入りましたが、2020春、Talia Lipkin Connor披露目と相成りました。
いつもおんなじようなストーリーを書いている気がする。でも事実なのでね、なんでもそんな簡単にはいきませんよ。時間がかかります。

今回はその卒コレより2型。
分厚い縮絨ウールが魅力的なポジションに対し今の時期には少々ヘビーだったため。
次の20AWまで待ってフルコレクションでのスタートとも考えたけど、Taliaちゃんはすでに新しいコレクションを発表済み(これもまたあとで) なので、ASAPいまできる物を。

このコレクションには、 Taliaちゃんの祖国アイルランドへのリスペクト、希少産業後継の想いがベースにある。

かつて栄えたこの国の繊維産業、縮小を続け工場も減り、現存する工場は主にクチュール専門として稼働しているそう。
彼女はスクール最後のコレクションを製作するにあたり、実際にこれらの工場へ直接出向き“本物の”ファブリックを調達したらしい。
アイリッシュリネンにアイリッシュウール、その中に挟まれたナイロンに至るまで、徹底して「メイドインアイルランド」に拘った。
そんなさすがの素材に劣らない彼女の渾身勝負のクリエーション。

ジゴスリーブやギャザー、プリーツ、ハンドデコレーションなどのボリューム感あるトラディショナルフォーク。
また至るところに段階的な切替を用いているのだが、これがセオリーに沿っているのか反しているのかが非常に微妙なのです。
自分にはフォークロアというよりむしろ現代的に映る。

古典的な印象派の絵画をグラフィックでモザイク化したような感じ。伝わるか。
どちらの角も立ちすぎず、しかしどこかに漂う違和感。

激しい上流から次第に穏やかな下流へと、細く長く流れは確実に続き最後はまた少し勢いを増し海へと流れ出る。


CSM学生、この切替の多さははたぶんKikoの影響が大きいのかなと思う。
でもTaliaちゃんの服は切替のバランスが独特で、ないところは一切ない。ステッチさえない。

だから絶妙な間の抜けがあるな。この辺おもしろい。
あとこの木ね、

手彫りだそうだ。

この初めてのTaliaとのコラボレーションで私はこの人のパターンに興味を覚えました。
そしてこのコレクションから2年、20SSのMA CSMショーにて新たなTalia Lipkin Connor が現れた。

表層は異なれど、確実につながっていますので、流れはね。

まずはこの上流を。