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#79. LINDER

 
LINDERについて書いていなかった。そうだ、書いていなかった。
新型コロナウィルスの猛威が今なお収まりを見せないアメリカ、その最大の被害地ニューヨークより。
すべてが停止状態の中でなんとかシップアウトしてくれたLINDERチームに感謝だ。

LINDERwomensの最新コレクション20SSは私とっても好きでした。

スポーツアクティブなハイライトカラーとの対比に陰影の強いボディプリント。
素材は得意とするスパンデックス、ナイロンのテクニカルピースを印象付けながらも、ニットやヘビーコットン、エキゾチックレザーの天然の重量感で、説得力のあるコレクションの出来上がり。

率先して提案する腰履き超ローウェストなボトムはついついくいくいっと持ち上げたくなるハイウェストの習慣に一喝です。

中でもこちらのラウンドウェストラインは更にローへローへと引き寄せる。

このスカートはパイソン−水蛇、ホンモノです。
ここ最近のファッションの流れにおいてリアルレザーは肩身が狭くなっておりますが、やっぱりリアルいいなと、どうしても思ってしまう。
でも実際にリアルレザーは、命尽きた動物だったり食用で不要となった皮革を服に使用しているのがほとんどで、そのための殺生なんてほとんどないんだもの。
そういう意味ではフェイクよりリアルの方がエシカルかもしれない。
まいいや、この水蛇ちゃんの美しさよ。色、柄、この小さな面積でこれだけの感動を生み出すのです。

それはまた、裾に漂うまるでお魚さんの尾びれのような、光を誘う最高最薄ゴールデンナイロンを携えて、もうこれ以上はない組み合わせだと思ってしまう。
実際に、LINDERは重量感の取り扱いには非常に注意深く構成します。
夏もいいですが、冬にもうひと素材組み合わせたいところです。

そしてこの超絶タイトニットドレス。

LINDERはニットにはかなり注力していて、毎回ニットピースはイタリアで制作されます。
今シーズンも深い信頼関係のファクトリーで仕立てられたニットは、多重色を思わせる絶妙な色の出し方と、遠慮のないボディコンシャス、パイソンスカート同様のフィッシュテールに言葉を失いますよ。
あとこの背中ね。

私はこの服にとてもニューヨークを感じます。
タイトフィット×アースカラー×縮絨ニット
この方程式はザ・ニューヨークだな、と思っちゃう。この提案はイケてるブランドはやってる。
だからなんだということはないのですが、たぶん自分の気分にドピシャとハマったというだけなのですが、
でもセンスがいいのは間違いない、ふん。
絶対かっこいいですよ、これを着てる女。
誰かいないかな、そういう女。男でも。

デザイナー自身のクリエイティブの意志は確実に変化していて、この次の20AWはまあ簡単に言うとリメイクなのですが。
20SSはLINDER(ウィメンズ)の転換直前です。

さてこの先に何があるのか。でも今は、今を永遠に見ていたい。そういう感じ。