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#80. JING YU GARMENTS

 

SPECIALTY.-専門、技能、特殊-
JING YU の服はこの言葉がとてもしっくりくる。

ミラノを拠点に最高級の素材、テクニック、感覚で洋服(ガーメンツ)に取り組む中国出身のJing とWawa
ミラノ・マランゴーニを卒業後、ロンドンへ渡り芸大で更にアートを学んだ後、再びミラノへ戻ってブランドをスタート。
と、なかなかのアッパークラス。
ミラノで活動する理由はイタリア人の適当さと時短だそう。
ハイエンドの服を作る上でイタリアとの関わりは切り離せない。生地、職人、工場。コミュニケーションは必要不可欠だ。
Jingはよく言う。
イタリア人は根っからのレイジーだと。すべてがルーズでフィジカルな距離があると仕事にならないらしい。とにかく時間がかかるって。
それ故に効率的にストレスフリーにお仕事をするには自分から距離を縮めるのがいちばん手っ取り早いということのようだ。
人間性は置いといて、JING YU GARMENTSはイタリアの卓越した職人の手なくして成り立たない。
特に秋冬の重衣料は紛れもなくオートクチュールの域です。これは本当に感動します。佇まいから袖を通した時の多幸感まで。

ただ残念ながらカシミールさんには手が届かない。悲しみ。でもいつか、あのコートたちを迎えられる日を夢みます。

でも春夏だってすんごく素晴らしい。

このブランドの東洋の西洋のバランスはとても味わい深いものがあります。
服のセオリーとしては西洋が占めながらごくごく僅かに東洋を香らせる。
表層にはないんだけど、音とか、香りとか、インビジブルな域でオリエンタルなエッセンスが間違いなく漂っている。

この感覚が言葉で伝わるか不明ですが、服を見れば分かります、たぶん。
何度も言いますが、ディティールは一切ありません。
ここをイメージしてJING YUの服を着ることはとても興味深いと思う。

ここにある服は、構造的には簡易的というか、複雑なテクニックとは一見無縁に映るのは否定できませんが
いやいや、そんなこと全然ない、このブランドのポリシーはしっかりと服に落とし込まれている。
簡単なウェストゴムだって、表にステッチが出ないようにゴムと裏生地だけを先に縫い止めることでゴムのヨレを回避してたり
シンプルなスラッシュポケットの完璧な縫製。
そしてこのスカート、バイアスに生地を流しながらふわりとギャザーを保つこの手法は簡単に見えてものすごく高度な技術だと言っていた。

技術とはそういうことなんだと。
誰も気づかなくても、どこか心地の良さや着たときの凛々しさ、満足感は、そこには確かに技術が存在しているということだ。

更にはすべてイタリア織られた上質な生地。
これだけ光沢と高密度を備えながら、こんなにもしなやかでふわりと柔らかいことは、触れないとわからない。
どれもこれも、写真じゃ伝わらない、言葉でも伝わらない。
言葉は下手だし写真は粗い。
だから、実際に見てほしいなと思います。特にJING YU の服は。

ラグジュアリーの世界を見据えプロフェッショナルな環境で最上級の服を仕立て、誰もが知るビッグメゾンに引き抜かれ(入るかは検討中らしい)
それでも自分たちは店の規模は関係ない、自分たちの服を理解し感覚で繋がれる店と仕事をする、と笑って言った JIng とWawa
SPECIALTYを生む人はいつも深くて優しい。