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#106. Daniela Meichelböck

 
まだ記憶にも新しい、Central Saint MartinsのMAグラデュエイトショーで発表されたDaniela Meichelböckのコレクション“On Waiting"が、2021秋にCasimir Pulaskiday.にやってきたことについて。
このコラボレーションを叶えてくれたDanielaとWillaに心からの感謝を込めて。

昨年のCSMのショーを見たときから、ああ、まずすごく好きだという思いと、とにかく気になって。Gabrieleさんの時の感覚と近いのかもしれない。
この卒業コレクションにかける「かけ方」。皆それぞれ違う中でも、こういう「かけ方」をする人に、いいなと思ってしまう。

Danielaさんと進めたこの小さなプロジェクト。彼女自身、元々このコレクションを売るつもりはなかった。やはりこれは「作品」だから。
もちろんそれを理解しています。そう言う貴方が好きだ。
それでもこんなよくわからない誰も知らないようなCasimir Pulaskiday.という店を気に入ってくれて、このために今回、コレクションピースを仕立ててくれると言ってくれました。
嬉しいな。本当に夢のようだ。すべてが奇跡だからな。大切にしよう。今回のコラボレーションを私は絶対に一個も消費したくない。
売りたくないということではなくて。もちろん売ります。
でもそれはただの消費の一端ではなく、ひとつの現象として。
ただ一つ。DanielaとWillaのストーリーに、ここで起きることが沿っていること、これをを考えて動く。
自分の考えはどうでもいいです。Daniela Meichelböckの“On Waiting”をお届けしなくては!。
このコレクションのテーマが語る通り、デザイナーDanielaは「待つ」という行為に着目した感覚を服へ投影しました。
今の時代おいて「待つ」ことは人々にとって、これまで以上に多様な意味を持っていると思う。
現実世界の日常と現象についてのケーススタディ。
待機時間に起きるアクション、過程、状態、結果を彼女は様々な視点で研究を重ねます。

座って待つ時のジャケットやコートが上にずれて肩が盛り上がったり前に倒れた状態や、シワがプリーツになったパンツ、ストレッチして縒れたシャツにポケットに手を入れて待っている状態の拳で膨れたポケットのシルエット、足を組んで座った際に捻れて歪んだパンツなど、「待つ」というある意味静止状態で起きるハプニングをデザインとして正常の服に付加されています。
実際に彼女自身が「待つ」をして、それをカメラで撮影しながら服が形作る状態を捉える。

服の乱れを表現しているのだけれど、その佇まいは凛として知的。
日常のワードローブであるオフィスウェアに最小限のアクションを乗せたなんとも潔いコレクションです。そして強い。

服と同じくらいDaniela Meichelböckのアートワークで大切な表現としてのビジュアルワーク。

コンセプトとストーリーがあって服がある。そういうバランスがファッションよりももう少しナイーブな関係を着る人とつくるんだと思う。

今回お店にやってきた子たちは、コレクションの全てではないです。

現時点で製品化できる範囲で、カシミールさんのためにチョイスしてくれたニューカラーオレンジを加えて。
そしてポロはサイズも大きくしてもらった。Danielaさんは小柄なので、できるだけ多くの方に彼女が着たルックのバランスで着られるように。

そして、このコレクションのもう一つの大切な欠片、Danielaさんのお友達のアーティストWillaさんとのコラボレーションで生まれたシルバージュエリー“PLEASE WAIT”

Daniela Meichelböckのコレクションのストーリーをイメージして描いたドローイングをWilla Hilfreich Jewelleryのシルバーリングとペンダントにのせたジュエリーラインです。
リングは4種類、Jacques Tatiの映画『Playtime』やRoy Anderssonの『About Endlessness』(ホモサピエンスの涙)のワンシーンや、サウス〜イーストロンドンまでを冬の日の夜に歩いた時に冷え切った手で描いたドローイング 『London City Walk』など、どちらも非常に概念的に「待つ」ことを具現化したドローイングが刻まれています。(長くなるのでお店でご説明しますね。)

Danielaの物静かな服にラフスケッチの絵やレターのシルバーが重なったバランスがとてもいい。

そう、今回のDaniela Meichelböckのコレクションは、申し訳ございません、店頭のみでのご案内とさせてください。
オンラインは元々ないですが、詳細のご案内も申し訳ないのですが、すみません。できません。
さっき書いた通り、このコラボを消費したくないからです。
遠方の方には本当に申し訳ないですが、何卒ご理解ください。
そして、近々また遠征しようと企てていますので、もしご予定が合えばお越しください。

-Waiting-今この時に着ることに意味を見出したい。だからこのタイミングでお披露目できてとても良かった。
DanielaもWillaも、新しい、とてもワクワクする未来がスタートします。その中でこの先も、またこの小さなプロジェクトを繋いでいけたら最高だ。ありがとう。

2人の空気を装って、じっくりと佇んでください。