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#120.DZHUS


ウクライナ、キエフより届いたDZHUSの最新コレクションについて。
テーマは"PHYSIQUE"(体格、骨格)
ブランドのDNAとなっている現代社会へのアイロニックな感情は、今シーズンはメディアのあり方へと向けられます。
無秩序な誇張、補正、変換による露出過剰な現代メディアコミュニティ。テクノロジーによって、リアルは非リアルとなり、スタンダードはインスタントに即興で形を変える。
そんな世界で、フィジカルについて考える、DZHUS

今シーズンは、わかりやすくテーマの通りボディパーツを嗅ぐわせたピースから、バーチャルなオーバーアクションへの反発が窺える。実態と仮想。
Casimir Pulaskiday.へやってきたのは4型です。
今でもこの4型が正解だったのかは正直わかりません。でも少なくともこの4型は正解であると思います。

毎回、自分にはこれは本当に難儀なことです。そして皮肉にもデジタルで買うという。フィジークを。
いろいろ思うところはありますが、それでも、血の通った時間を通して選んだんだ。と、自分に言い聞かせる。
半年後に実物を前にして、ああ、本当に力強く知的でユーモラスで、本当にこれがこうだったのか、なるほどここにこれがあるのか、こことここがくっつくのか、ほおこんなところが取れるのか、などと答え合わせをするわけです。
DZHUS本と、Irinaが一生懸命レクチャーしてくれたビデオを何度も見返しながら。

DZHUSはどのブランドよりもこの時間がかかる。
基本のトランスフォームの前知識は多少はあるけれど、更なるトランスフォームを探求し出会うことがDZHUSを着るということです。

過去のシーズンのリピートに見えていたことが、実際に触れるとそれは全く別物なのだ。単純に生地やパーツの違いもあるとは思う。
ただそんなシンプルなお話ではない。
実際の服を全体として向き合った時、リピートしていることを、服に逸らせられる。というか。 別の視点に誘われる。
なるほどこれがDZHUSの説く"コンセプチュアルウェア"ということか!
今更だが納得した。

テーマを色濃く感じるこのピースは身体の骨格をストレートに服へと変換させています。
DZHUSには珍しくセクシャリティを顕にしていますが官能とはほど遠く、肋が浮き上がり萎んだ乳房が語る言葉とは。

ボディを覆う漆黒ヘア。
大衆文化における髪への執着を表現すべく美しく整えられたプリーツヘアは、バスト下のファスナーで着脱可、外すとバッグになります。


背中に蔓延る触覚がこの服の異様性と魅力を増殖している。前のあれに後ろのこれなんて、もう天才に違いない。

"MEDIA"と名付けられたこのドレス。

なぜMEDIAなんだ。わからないけど、テレビっぽいからか。

パタンパタンと畳んでこちらもバッグに。

この重さで履くスカートはものすごく魅力的だな。重たいけど空洞、そしてあな。

あー。このペースで書いていたら飽きるな。
あと半分。まいていきますね。
よし、次はこちら。

薄手の綿ローンをプリーツ状に重ねられた見た目よりも大変重量感のある生地です。このプリーツによって豊かで立体的なフォルムが成立します。

かなり張りが強いのでケープにしたときの静止した立体シルエットが興味深く可能性を感じます。

ところで私はDZHUSのバイカラーピースが好きなのですが、それはたぶんDZHUSのストリート性をどことなく感じるからだと思う。
この子もそうで、解釈の広がりが心地よいというか。

白と黒は別パーツなので単品でも着られます。

この子がとても楽しくてね、いろいろやっちゃうわけです。
四方の口にドローストリングが入っているのでこの塩梅でシルエットも変幻しますのでこれはもう無限ですね。

それにしても大作だな、今回は。大したこと書いてないけど、服が楽しいということ、そして改めて、服を着ることはエネルギーを使う。これを実感する。
だから自分が元気でいないと服が着られない。
DZHUSについて書いた結論はこれなのか。
うん、これでいいと思う。