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#129. ISA BOULDER

ISA BOULDERが如何に鬼かという点について。
まずコレクションの型数が異常に多い上にカラーオプションの数が更に異常だ。ファブリックも含めるととんでもない。
このクリエーションレンジで、だ。
もう鬼だよ、デザイナーのCeciliaさんはもちろんだけど、生産管理も超有能に違いない。
シーズンを追うごとに鬼度が上がっている。
ビジョンが素晴らしく強靭で、そのビジョンを高感度を保ったまま具現化する環境。
本当に選べなくて苦しい。ビッグオーダーができたらまだ楽なのにな、このブランドをこの店に収めるなんてどうがしている。

この22SSで私は更にISAさんが好きになりました。
流行を貪るトレンドセッターを挑発しているかのように見えてしまう。
着やすさとかわかり易さとか便利さとか。
そんな願望はこの服の前では瞬時に淘汰されますが、代わりに別の欲望が湧いてくる。

先行してコスチューム感が強いですが、”着飾る”という思考とは少し違う気がしています。
着飾るというのは、その対象への理解や定義が不要な行為だと思っていて(完成したスタイルには定義があるかもしれない)、ISAさんの服は、個体単位での解釈が必要だと思われる。体の前に頭を使う。
何も考えずに着られたらある意味でそれが最強かもしれないです。自分には無理だな。

そこに思想が在るとどんな格好をしていても自然に見える。
当然だ、その人がその服を自己解釈して着ているから環境とか趣味嗜好は関係なくそれはまったく理にかなっているということ。
ただその解釈には正否がないし、延いては完全に解らなくても結果は大して変わらないと思う。自分はわからないから着るのをやめる、ということは絶対ない。
考えた結果解らなかったものは、こういうことではないか、という仮定の元いったん着てみる。
語弊がありそうだからまた言いますが、合わせとかスタイリングの問題ではないです。個体単位で。
個人的には、「定義してみる」ということが重要だと思っています。そうすると着られるものがまた変わってくる。

もちろんその時のコンディション、体力とか気力とかが作用するけど、服を癒しの対象にすると痛い目に合う。
服もそんなつもりで服になってないだろう。ジェラートピケだってたぶん違うと思う。
因みにジェラートピケも私は頭を使って着る自信はある。似合うかは自信ないし今は着たいと思っていないけど。
でももし着たくなったとしたらそこには概念を伴うはず。ルームウェアとして着ることはないと思う。
今気づいたが、ISA BOULDERの話しないでジェラートピケの話しちゃったよ。

私はISAさんの服を着て外へ出たい。
こんなに暑いのに今このチューブについて考えたい。

甲冑感。生命力もある。

意志を持った軟体生物は時代を交錯したのち新世界への道となるだろう。