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#132. Hilfreich Jewellery


ひとつだけ、素敵なリングが入荷しました。

Hilfreich Jewelleryは、ロンドンベースのアーティストWilla Hilfreichが手がけるシルバージュエリープロジェクト。
Willaちゃんのジュエリーは今回が2回目の入荷です。
1回目は、Daniela Meichelböckのコレクション”On Waiting”のために、Danielaさんとお友達のWillaちゃんとのコラボレーションで生まれた”PLEASE WAIT”と名付けられたシルバージュエリーのカプセルコレクションでした。
Danielaさんの服の意味をグッと深めるコラボレーションでとても想い深き存在です。
少しだけこちらもあります。

さっきも書いたけど、Willaちゃんはアーティストです。
主な作品はドローイングとペインティング、それらに沿った立体など。
日常の風景、都市空間に無造作に(または隠れて)存在する「無駄」や「残骸」を日々観察収集しクリエーションへと繋ぐ。
ジュエリーとはまた表情が違ってポストミニマリズム的な無機質さと静けさがある。立体はタトルを思い出した。

Hilfreich Jewelleryのジュエリーは、ロストワックス製法というオールドスタイルの鋳造技術を用いて一点一点彼女の手で作られています。
ロストワックス製法とは、ワックス(ろう)で原型を作ったのち、その原型の周りを砂や石膏で覆い固め、加熱により中のワックスを溶かし出して除去することによってできた空洞に溶かした金属を流し込み、冷え固まったのち、型を割って製品を取り出すという製法。
Willaちゃんがこれまでに出会ったストーリーや美術品をイメージソースとしてユーモラスに描かれたハンドドローイングやラフスケッチをワックスの型に刻み、ひとつの型からひとつずつ生まれます。

ジュエリーと他のアートワークとの向き合い方の違いを聞いてみたら、本質的な「描く理由」は変わらないと思うけど、ジュエリーの方は彼女自身が見たり読んだり聞いたりしたものからイメージを作り出して派生的なアプローチをすると言っていた。この方法は他のアートでは採らないと。
確かに。ジュエリーの方がファンタジー要素が強くて他のアートワークはもう少しフィジカルで直接的、でもどちらも彼女の日常から創造すると言うスタート地点は一緒なんだろう。
でも身に付けるものから現実要素を省いて本来制約がない分野にそれを当てがうってとこが面白いな。

彼女が使用する素材はシルバー925のリサイクルシルバー、純度の証明として英国Goldsmith社のホールマークスの刻印がリングの内側に押されています。(これ↓小さくて写真じゃわかりませんね)

今回入荷した子は、Italo Calvinoのショートストーリー“The distance of the moon” がベースとなった作品です。
遥か昔、月がまだ地球にとても近い距離にあったころのSFファンタジー。
ぜひストーリーも読んでほしい。ドリーミングで少し悲しくて、宇宙の歴史と科学が詰まったお話です。
調べてみたらYouTubeにこのストーリーのショートアニメが2作品あってどちらもとてもよかったです。

PLEASE WAITのスクエア型ではなくサークル型、物語を元にWillaちゃんが描いた登場人物たちが立体的にとても生き生きと乗せられています。
すごくかわいい、あと存在感がとてもいい。
前回同様にWillaちゃんのリングはひとつのデザインにつきワンサイズで今回は少し大きめですが、もう合う指にはめたらいいと思います。
指が合わなかったらスカーフに通したり。

そして今回、Willaちゃんからとっても素敵な提案をいただいて、リングと一緒に、The distance of the moonの小さな本を彼女が用意してくれました!
素敵だな。こんなにも特別で幸せな気持ちにさせてくれたWillaちゃんは、明るくてポジティブでとても優しい女性です。
言わずとも作品を見ればわかりますね。

実は今、Willaちゃんにカシミールのためのペンダントをお願いしています。
なんとなくの希望をお伝えしてそれをもとにWillaちゃんが形にしてくれる。
ご多忙で少し時間がかかりそうですが、のんびり待とう。
今はこの子で胸がいっぱいだから。