Skip to main content

#140. wan shan ling


wan shan lingの服をはじめてお迎えしたのはいつだったかと遡ってみたら2018年でした。
wan shan lingはビーズワークがひとつのオリジンとしてあります。
当時、wanさんのビーズはセンセーショナルであったし、実際のアイテム数は決して多くはないけれどそれでも残像は色濃く今も想起することが多い。

Casimir Pulaskiday.では過去に3型ですが、Godardでの作品も素晴らしかった。
それ以降wanさんはビーズから距離を置いていましたが、すみません、またwanさんのビーズを見たいです、と心を込めてリクエストをしてみたところ、即答で断られました。本当に辛かったと。
それは申し訳ないことをしたと思いますが、でもああいう作品は本当に貴重だと思うし、wan shan lingの作品群の中でビーズワークはどんなに時間が空いたとしても定点的に見たいと思うわけです。むしろ空いた方がやる意味があるかもしれない。

一蹴の後、覚悟を決めて挑まれた今回の2点は、明らかに過去から進化しているし、ビーズのもつ意味というかビーズとの関係性が変容しています。
それはwan shan llingというブランドの進化以外の何ものでもなく確実にアップデートされ、自分にはビーズに対する解釈がよりフラットに感じる。
もはやビーズである必要はないのかもしれない。
こんなこと言ったら本気でキレられそうですが、それほどに服自体が素晴らしいということです。
生地、ディティール、パターンがフロントに一切負けない強い意志と説得力を持ちます。
これは実際に見て、着てみて解る部分です。

補足として、今回の2つはホスピタルシャツがベースとなっています。
フロントの手と臓物が飛び出た女の子は、ビーズに加え、ステンシルプリントとブレード刺繍によって描かれています。
もちろん全てが手作業、各一点ものです。

残酷な世界の中でポジティブなイマジネーションをもって勇敢に、解放の未来へと突き進むヴィヴィアンガールズのように、ネガアイコンを纏った身体の中で健全な魂を燃やしてくれということか。わからないけどどうでもいいか。

途方もない時間と手数と熱量が瞬時に伝わってきます。
やり切った服、本気で感動しました。