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#143.Elena Velez


Elena Velezについて。
アカデミー卒業後の2018年、ニューヨークを拠点に自身のレーベルを立ち上げ、21年9月NYFWにて、YR000を公式に発表し本格的にブランドキャリアをスタート。
ウィスコンシン州ミルウォーキーで生まれ、五大湖の船長である(スーパークール)女性を母親にもつ彼女。
インダストリアルな環境で育った彼女の生き様、価値観、哲学が投影された自伝的コレクションを打ち上げるElena Velezが熱い。

この23SS/YR002よりお取り扱いさせてもらいまして非常に感慨深いです。
コレクションが醸し出す荒々しく退廃的で殺伐としたムードと共に、エレガントでドリーミーな、そしてなんというか、懐の深さの様なものも感じる。
もっとあって、社会的文化的な言語だったり、ユーティリティー的冷やかさだとか他にも。それぞれがストーリーをもっていてChapter1, Chapter2と極端な強弱音でループしている。そういう感じ。
この感じはまさしくElenaさん自身が持つ多角的なエレメンツだろう。
2人のお子さんのお母さんであるElenaさんはフレンドリーで柔軟でバイタリティに溢れ、判断力と冷静さを持ち合わせたとっても素敵な女性です。ほんとにカリスマ。

また、Elena Velezの世界でメタル素材は不可欠なハードコアです。
工業地帯で生まれ育ったElenaさんにとって非常に身近でファミリアなこの素材の扱い方がめちゃくちゃかっこいい。
シップヤードやドックで多くの時間を過ごし彼女自身も鍛金を学び、地元の金属工業職人の手で造られるメタルピースは、ファッションとしてのいちパーツではなく工業資材としてのプライドをしっかりと保持している。

ここが強い、特にウィメンズにおいて他ブランドとの差別化はここが大きい様に思う。
この辺は今回はお取り扱いできていないけれど、いつかお連れしたい。夢。

今回のセレクションは、YR002の中で自分が惹かれたElena Velezのクラッシック性をピックアップしました。
強いピースをやりたい気持ちもあったのだけれど、まずCPD.でのイントロシーズンとしてこのポイントに集中させることにした。

アグレッシヴなシグネチャーピースに対峙する、虚でデリケートなクラッシックピースが逆に強烈でセンセーショナルで自分には尊く感じた。
服それぞれが空気を含んでいるのにただ軽やかっていうのとは違う、ファンクショナルな堅さや歴史的時間の重さがある。あと資材的ファブリックのタフさ。
間の取り方が本当に素敵だな。ディティールもものすごく知的でうまく言えないが信念がある。
改めてこの並びが自分は好きだ。

ここがあって次がある。

本当にいいなと思う。マックイーンやガリアーノ(各本人)のあのデカダンスなドリーミングな世界を自分はElenaさんに感じます。個々感じ方は違うと思うのですが。
やりたいことが明確でブレない強さと「女性が作る女性の服」という繊細さとある意味でのリアリティが共存していて、あ、METAL MAGAZINEのインタビューでElenaさんが語っていたこの部分がものすごくしっくりきた。

"I feel very much at home in my identity as woman but admire the more phallic representations of femininity throughout history and culture:~"
(私は女性としてのアイデンティティにとても心地よさを覚えますが、歴史や文化を通した女性による男根的表現により深く感銘を受けます。)