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#144. SARAH LEVY


ベルギー、ブリュッセル発、コンセプチュアルアクセサリープロジェクトSARAH LEVYについて。
建築業界での長年のキャリアを経て2016年にアクセサリーの分野への取り組みをスタートし、現代人の行動原理に対する実験的アプローチを反映させたプロダクトを提案するデザイナーのSarahさん。
タイムレスのようで鋭く現代性を突いてくるユーモラスでシニカルなアクセサリーピースたち。
現代的であるのと流行的であるのとは別だ、という事がよくわかる。

SARAH LEVYのコレクションは、HABITとINDEXの2つのシリーズで構成されています。
HABITは言葉の通り、人間の習慣からインスピレーションを得たブランドの原点と言えるシリーズで、これまでに様々な日常生活のジェスチャーに対する解決策を”衣服”に付随するボディアクセサリーで表現しています。
お札をブラに挿し込むフェティッシュなジェスチャーに対応したチェストバック、防寒性により不自由化した手を解放するジップ付きミトン。
過去のチャプターではシガーホルダーと一体化したグローブや、ポケット付きキャップなど、実用性をユーモラスに解釈した風変わりなアイテムがHABITから生まれています。

もうひとつのINDEXは新しくできたシリーズで、ウェアに特化してポケットの可能性に注目したコレクション。
ボンバーやフーディ、コートのポケットのトランスポート機能を向上させ、ウェアラブルバッグへと進化させています。
デタッチャブルポーチやエクストラポケットといったアドオンと、本来のポケットの収納性を上げるアドバンスドのダブルアド。
入荷から少し時間が経って、じわりじわりと自分の中できていて、もちろん初めて見たときもそうなのだけど、今本当にSARAH LEVYへの想いが満潮を迎えたかもしれない。
めちゃくちゃにいい。

なぜこんなにも良いのか、
まずそれぞれのアイテムに共通してある、SARAH LEVYの独特なボリュームはひとつ大きい。
これは見るよりも身に付けた時によくわかる。

とにかく立体的なのだ。ここにプライドと執念を感じる。
ブランドオリジンであるHABITのレザープロダクトの生産スキルを、INDEXのファブリックピースにもほぼ同レベルで採用していると見られ、プロダクション全体に統一感があってインテリア的心地良さが生まれている感じがする。嫌らしさのないボリューム感はその辺からくるのかな。
たぶんSarahさんはそこまで意識していないと思うんだけど、現代のファッションにおいてこのボリュームの持つ優位性は高いと思う。
ただでかいというのではない、価値に変わるボリュームがこのSARAH LEVYにはあると自分は思っています。

因みにSarahさんはフリーランスとして、フランスのメゾンのアクセサリーデザイナーも担当している。
SARAH LEVYのコンセプチャルアート寄りのプロダクトにハイファッション(よい意味で) を感じるのは当然といえば当然だな。
それにより評価はまったく変わらないけど、でもその上でこれをやる、というSarahさんが私はとても素敵だと思います。

是非SARAH LEVYのビジュアルを見てほしい。ウェブサイトでもIinstagramでも。見るとブランドの、Sarahさんのビジョンや感度がよくわかる。
SARAHLEVYの時間軸でじっくりと向き合っていきたい。