Amaanda BrownがいるCasimir Pulaskiday. は久しぶり、2年ぶりだ。
Amandaさんがいるというのはいいもんだ。
いつになってもいいから、もしAmandaさんが何かをつくるのならば、私の店で発表させてもらいたいと願っています。
昨年はAmandaさんのフリーランス業務が多忙で自身のクリエイティブワークの時間がとれず、今年に入ってからその時間を確保してまたAmanda Brownのプロジェクトが再開された。
最初のサンプルを送ってもらってからのこの数ヶ月、Amandaさんとのやり取りの中で改めて彼女のクリエイションの豊かさと技術力、自身の仕事への責任感、そしてAmandaさんの優しさを再認識しました。
異国の小さな店に対しても労を厭わず向き合ってくれたことに心からの感謝を込めて、届いたばかりのAmanda Brownの最新作について書きます。
Amandaさんのファーストサンプルはいつも白だ。
送られてきた躍動的な白たちを前に、また新しく特別なものに出会えることが確定した。
今回もAmandaさんはヴィンテージのTシャツを使ったアップサイクルプロジェクトに取り組むらしい。
これまでにCPD.では5回のアップサイクルプロジェクトを発表し、うちTシャツを用いたものは3回目となるが、印象はこれまでの作品に近いものの明らかに進化したテクニックに目を疑い胸踊る。
まずどうしたらこれができるのか見当がつかない。自分にわかるわけがないのは当然なのだがやはりAmandaさんが日々可能性を広げる生き方をしているのだと思った。偉そうに言いたいわけではなく私は本当に尊敬しているのだ。
1本ずつ紐状カットされた縦のヴィンテージTシャツと、その一本ずつを通して面にさせるためのチューブが連なる横のニットラインで構成されたTシャツとドレスがAmanda Brownの最新作です。
ニットパーツを見ると上下で異なる編み地のダブルフェイスになっている。
このプロセスがわからなくてどうやったのか聞いてみたら、まずダブルベッドの編み機で上下のパーツを作り、その後にチューブができるように上下をコネクトしたのだそう。ゾッとするプロセスだった。
Amandaさんのバランスでチューブに通されたTシャツ紐はプレイフルで愛らしく、アットランダムでありながらしっくりと均衡がとられている。
そしてもうひとつ、このプロジェクトの大切なエレメントなのが色です。
今回ひとつだけ私からAmandaさんにリクエストをしました。それはMark Rothkoを服に乗せてほしいというものです。
何層にも重ねられた色の塊、配置と構図、色相の対比とその変化で表現される人間の感情や深層心理。
Rothkoの絵画に在る内省的で抽象かつ鮮烈なカラーブロックがAmandaさんの今回の空間分割的なデザインにとても最高にいいんじゃないかと、ただただ見てみたい気持ちで、甚だ軽率で厄介なお願いをしてしまった。
Amandaさんは優しいから基本的にNoを言わないので、この私のお願いにも快くのってくれました。
当初私は単純に、Rothkoのカラーに近しいヴィンテージのTシャツとニット糸で制作してくれるものとばかり思っていたのですが(それだって大変だ)、Amandaさんはこの複雑なフェードカラーをなんと染めで表現してくれました。
Rothkoの表現に沿い何層にも色を重ねる作業がTシャツとニットそれぞれに施されており、特にニットの色相が本当に素晴らしい。
画像では伝わらないのですが単調に見えてものすごく深いトーンで変化している。
構造、色共に、Amandaさんのビジョンと創造性、そして技術の集結による完全なオリジナル。
何っぽくもなくてAmanda Brownだ。
そしてある意味で普遍的とも言えるAmanda Brownの作品を着ることで風通しの良さが生まれる感覚がある。
私はAmandaさんの服には高いデザイン性と、着る側に委ねる寛容さが共存しているように感じるのだ。この2つは本来相反する性質だと思う。
もちろんどんな服でも着る人に舵取りの権利があるのだけど、デザインが強いほどそこの自由度は下がれがちだ。
Amandaさんの服からはよい意味で縛りを感じない。
もしかしたらファッションの文脈でのデザイン性とは少し異なるのかもしれない。
いやでもしっかりとモードであるからなんだろうか。ちょっともう少し考えたい。もう少しで掴めそうな気がする。
でも要するにAmandaさんがつくった服だということだ。結局は。
今回のプロジェクトでは計4点が制作され、先に2点が入荷、残り2点はもう間も無く到着予定です。今日かも。
Amandaさんのお気に入りはこれから入ります。めちゃくちゃ楽しみだ。
RothkoルームならぬBrownルームを夢見て。
ありがとう。