Skip to main content

#168. Atte × wan shan ling


Atte Gemzell とwan shan lingのコラボレーションワークにについて。

前にも書きましたが、Atteはストックホルムに住み、以前はSPENDというブランドをやっていて、現在は学校の先生として子供たちにアートを教える女性です。
私はSPENDが大好きだけど、この先AtteがSPENDを再開することはたぶんないだろうと思う。可能性はゼロではないけれど。
それでもAtteは変わらずアートやデザインを愛していて寛容でフラットでものを作ることが身近にある。

Casimir Pulaskiday.をはじめてからAtteの作品をいくつか迎えました。
それらはどれもAtteのアイデアと手から生まれたAtteにしか作れないものです。

最近では真っ赤なクレイリングがまず頭に浮かぶかもしれません。
そんな彼女の新しいデザインに触れる中で、SPENDのときとは違う、今のAtteの作った服が見てみたい、着てみたいと思うようになりました。
今だからできるやり方で、見たことのないものを。

Atteの現在の状況から、何かベースまでをこちらで用意するのがベターだと思った。古着も考えたけれど今はちょっと違う気がした。
もっと丁寧に、とびきりなプロセスを。とするともう一直線にあの方に辿り着いてしまうてしまう。
wan shan ling
実はwanさんもAtteとSPENDの大ファンなのだ。
だからどんなに忙しくてもやってくれると信じてお願いしましたら、即YESをくれました。
生地だけこちらで用意することを条件に。
Atteもこの小さなプロジェクトをとてもとても喜んでくれた。わあ、ほんとに実現するんだ。

私が選んできた生地は残念ながらwanさんからもらっていたご希望にはまったく沿わないものになってしまった。
それは私の中のAtteのイメージにピタリとはまったからで、(Atteはファーがとても似合うのと、テクスチャーを愛する人だから) これによりwanさんの仕事は増えた。でもそのぶん更に、何ものでもない土台が出来上がりました。

さっそくAtteにこの2着を送った。Atteがバケーションから戻るころにストックホルムに到着。
受け取ったAtteから届いた最高のリアクション。
そしてピックアップは次の買付のパリに決まった。私はストックホルムに行くつもりでしたが今回はAtteのご希望でパリに来てくれることになった。

私はAtteに期待していた、wan shan lingの服をめちゃくちゃにしてくれることを。
なんの配慮も歩み寄りもいらないの。
もちろんそれをAtteにも伝えていたし、たぶん彼女もはじめはそのつもりだった。
でも結果はできなかった。
Atteはこの美しい2着の服を壊すことができなかったと言いました。

Atteはデザイナーとしてwanさんを深く尊敬している。
私はこれらはAtteの服になるものと思っていたけど、Atteはwan shan lingとのコラボレーションを望んだのでした。

wanさんには、できるだけAtteに自由にやってもらえる土台をと依頼し、今回WSLの要素はコントロールしてもらいました。
それは彼も同意で引き受けてくれましたが、それでもやるからにはよい作品を作りたいという思いで取り組んでくれた結果、抗えないwan shan lingのエッセンスが散りばめられたものが出来上がった。(配慮はよく伺える)

おいおいやってくれたぜと思ったが、でも単純にかっこいいし、SPENDから現在までのワークからAtteへの理解を深めた上での表現だと言う。
Atteがこれをはちゃめちゃに壊してくれたら最高なものになると更に期待が高まってしまった。
だからこそ、Atteの答えに最初少しだけ戸惑いがあったことは事実です。
でもやっぱりこれが正しかったんだ、これが2人のコラボレーションの形だと、今は冷静に確信しています。
服たちへの直接の施しの代わりにAtteは最高のアタッチメントを乗せてくれました。

ブラウンファーには陶器の輪っか、ピンクファーにはカラー糸を巻きつけたマクラメのベルトを。
そしてAtteのお絵描き刺繍キルトベスト。これはブラウンに合わせたらどうかと提案してくれたのですが、いろいろ考えたけど当店では単品で販売することに決めました。
ピンクの胸と袖にはAtteの息子さんが3Dプリンターで作ってくれた♡とGOODLUCK。これらだけ直付け、ぶち抜き手縫い。すごくいい。

Atteは考えに考えて、愛と敬意を乗せた手段で最大限にwan shan lingの服をぶち壊してくれたのだと思います。
本当に、まったく見たことがない。

2つの視点が共存することで焦点がぶれてまた別の視点が発生して活性化してくる感じ、異質の感性がひとつの造形の中で互いの存在を確かめ合って創造する感じ、まさにゾフィー・トイバー アルプとジャン・アルプ夫妻のデュオデッサンじゃないか。

Atteはファッションで、完璧でない説得力とファニーな知性を表現してきた人で、今も変わらず新しい形の上でまたそれを見る事ができます。
そしてwan shan ling も素晴らしい。
Atteのオーガニックなアートワークを正面から受け止めながらこの人のファッションへの手綱は緩んでいない。
やっぱり間違いないこの人の仕事は。

コラボレーションの面白さ、難しさ、可能性を学んだ。
できなかったこともある。その大半は私の見誤りが原因である。
次はもっとのびのびとぶつけ合えるアリーナを目指す。

少々エモーショナルな響きがあるかもしれませんが決めつけるのはよくない。
的外れに見えて的確だから。
これは読まない方がよかったかもしれない。

Atteとwan shan ling、ありがとう。