また少しずつ書きたいと思う。
まず、この春新たにお迎えしたジュエリーアーティストGwynn Jagoについて。
Gwynnは2023年にHDK-Valand Academy of Art and Design を卒業し、現在はストックホルムを拠点にジュエリー製作やアートワーク活動を行っています。
彼については事前に得られた情報はほんのわずかで現在どのようなスタンスでジュエリー製作を行っているのか、または行っていないのかもわかりませんでした。
彼の限られた表現はどれもミステリアスで自分にとって魅力に溢れており、情報過多な世界で本当にもう掻き消されてしまう音量でも確かに脈打っている。
何をどう期待することもなく、ただ彼に会いたかった。彼なのかも確信はなかったのだが。
レスポンスは終始素っ気ないけど時々うっすら漂う優しい響きに望みを繋いで1年ぶりのストックホルムへ、中心街から遠く離れた彼の家を目指す。
アドレスの家の窓から笑って手を振る人物を見てやっと安堵した。シェアハウスだった。
そこに暮らす人々は皆穏やかで優しく理知的で、お茶をいただいた少しの時間の交流はとても心地がよかった。
家の地下まるまるがGwynnのスタジオになっている。見たかった作品たちをほぼ実際に見せてもらい、彼のジュエリーが現在の自分のファッションの可能性を引き出してくれる希望が溢れてきた。
内省的で粗っぽいのに趣があり、作者の心の動きを映し出すような距離感に良い意味で目を逸らせたくなる。
彼は錆をとても愛していると言った。
鉄、スチール、アルミ、コンクリート、木。
装飾品という枠組みから逸脱したマテリアルは更なる退廃を重ね凛と輝く。
コンテンポラリージュエリーの世界では度々用いられるインダストリアルマテリアルではあるが、それらは一部のパーツとして他のハイバリューの素材との組み合わせであることが多いように思う(そうではないファインジュエリーもやはりある)。
シルバーワークも数点ありそれらもとても魅力的でしたが、また別の感受性をもつそれらはシルバーと一部のゴールドのみで構成され、私が見た中にこの2つの異なる価値が組み合わされた作品はたぶんなかったと思う。
現時点でそういう美学はないようだ。この先変わるかもしれない。それはそれで見てみたい。
一般的に醜い、汚いと分類される素材の美しさに魅せられ捻じ曲げることなくそのままにジュエリーへと昇華させる。
Gwynnの作品はクラフトではなかった。
どことなくリチャードタトルを想う。
今回まずIron ring 4点をいただいた。
ほぼすべてがアートピースである為、Buy nowの作品は少なかったが幸いにも気になっていたこのリングたちをピックアップすることができた。
錆で見るプロポーション。
このリングはファッションで解釈し得ると思っていて、ヴィンテージ、ストリート、グランジファッション等のダメージ、デスロトイの流儀とも錆は親和性が高く、素材自体はもちろん、使用過程でのもらい錆やソリッドな角ばりが齎すスクラッチをもファッションとして許容していくという所存です。
経年変化はファッションに不可欠な美徳でありそれは服個体としての変化から体系的作用へ拡張されたモードファッションが既に存在する。
そのフィルターを幸いにも持つ私たちはこの先いくらでもリアリズムをファッションに転換できる可能性を秘めている。
見れば見るほど美しさがわかってくる。
この4つのリングは錆のために創られたのだと確信できる。
Gwynnに会って私は彼がとても好きになった。向こうはわからないが。
できればもう少し彼の作るものをここに迎えられたらと願う。
