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#166. Philip Sajet 1

Philip Sajetは、アムステルダムを拠点に約40年間に亘りジュエリー製作および金細工師として活動を続けるアーティストです。 1978年にジュエリー製作の道をスタートし、美術学校、師事を経て現在まで、作品を作り続けています。 彼の作品はこれまでに多くのアワードを受賞し、各国のジュエリーギャラリーに展示され、国際的美術館や博物館のコレクションとしても収蔵されています。 また教育においても積極的に尽力しており、多数のアートアカデミーで客員講師を勤めており、東京のヒコ・みづのでも2003年に講師として日本に滞在していたらしい。 そんな人の作品がいま、ここにあります。 何故、と誰よりも自分が思っているが、その理由はやはり出会えたことと、そしてPhilipの寛容さと好奇心、優しさ、あげればキリがないが、本当に奇跡に違いない。 Philipとはじめて出会ったのは今年の3月、ミュンヘンジュエリーウィークを訪れた際に立ち寄ったギャラリーでした。 世界中から様々なキャリア、スタイルのジュエリーアーティストの作品が集まりミュンヘンの街一体がギャラリーと化す大規模な国際的ジュエリーイベント。 スケジュールの兼ね合いでずっと叶わなかったのですが今年はなんとかねじ込むことができた。 買付目的ではなく、ジュエリーの深い世界、マーケットを体感すること、そして未来に繋がる何かを得られたらという期待を抱いて臨んだ。個人的欲望は言わずもがな。 滞在期間中できる限り見て回り、それは本当に素晴らしい経験だった。 ジュエリーのもつ芸術性、質感重量感、秩序がこの上なく知的で美しく、この小宇宙的創造物との対峙の連続に終始胸は踊る。 と同時に自分の活動に直結させることの困難さに予想はしていたもののくらうものは大きかった。 それでも夢の存在に触れる(直接、感覚の両方) ことで縮まった距離感は確実にあったと思う。 んー、Philipまで行き着くか自信がなくなってきた。とりあえず続けてみる。 アーティストもギャラリーもアソシエーションも、それぞれの創造性、理念、定義などイデオロギーをもってジュエリーに取り組まれている。 それらの組み合わせ、体系のとり方で存在の性質は変わってくるから自分が解釈するファッションに如何なる価値のジュエリーを持ち込むこともたぶん可能だと思っている。...

#165. wan shan ling

新しいwan shan ling の作品"不条理なジレ"について。 今年辿ったwan shan lingの道筋から外れたようだが繋がっている。 不条理とは、筋道の通らないこと。道理に合わないこと。 アートや文学など芸術における思想や哲学的概念のひとつ。 今回のwan shan lingの不条理さに対する取り組みには、前提として道徳性という視点が存在する。 リチャードタトルの木に対するイメージ。 「芸術が道徳から自由であることを望んでいた」本質。 それでもこの道徳的な素材に惹かれるタトルの双極的であり無極とも言える思想と表現との関係性。 ここに、実用品を不条理なものに変換させるシュルレアリスム哲学を対峙させたとき、ファッションで今やるべきことが定まったと言う。 服という道徳的なものに不条理さを持ち込むこと。 本来の役割、期待される機能を失うことで生まれる違和感や不協和音がデザインとして機能する。 この点に集中した今回の作品はここ最近の表現から比べると抽象的でミニマルだ。 しかしwanさんの拡張的デザイン表現はむしろ広角化している印象。あらゆる主体の仮説と実証が形となっている。 以前、人に不快感を与えるために服を作っていると言っていたことがあった。 極論ではあるが真理的で私はとてもいいなと思う。新しい表現はこういうところに生まれるのではないだろうか。 今回の作品に不快感はあまり持たないけれど、圧倒的に不自然で、途方もなく不条理です。

#164. CB

謎多き人物[user]によるプロジェクトCBについて。 今年の3月にリリースした人体パーツのアクセサリーたちはまだ記憶に新しいかと思います。 この小さなイントロダクションを経て、CBのファーストシーズンとなるCOLLECTION 1より待ち望んだウェアピースが届きました。 wanさん、Amandaさんに続きスペシャルがまた増えた。 秘匿性はCBの創造活動のサインです。 COLLECTION 1を通じて彼は名前、顔を明かしていない。それは本コレクションにおける必然的行為だと想像する。 COLLECTION 1はヘルシンキのAALTOカレッジ 2024年BA FASHIONグラデュエートショーにて発表されたのですが、学生さんでこの姿勢ははなかなか稀有だと思うしこのコレクションがロジカルで作者の哲学と密接にあることがよく伺えます。 "ホーム"という本来もっともプライベートで安全性が確保された領域が、デジタル化された現代社会において、プライバシーの侵害、情報流出や搾取といったサイバーリスクのみならず、フィジカルな攻撃や人体被害へと発展し得る危地となっている事実を提示し、更にそこに如何に対抗し得るかまでが表現の中に組込まれている。 よりプライベートで他者を気にしない部屋着のあり方、何年も前から着続けているかのようなサイズも合っていない、くたびれたプリントや生地。ボサボサの髪にヘアバンドを巻き布団にくるまってサイバー世界へとアクセスする日常。 その合間に必要に駆られて外出する際の上着を思いやりなく羽織る状況や感覚をたぶん私たちの誰もがリアルに理解できると思う。 コレクションの全体を店頭でお見せできたらよかったのですが、彼のスケジュールの都合と、ヘビーピースの諸々の調整に時間を要するため、まずカットソーなどのルームウェアと一部のアクセサリーを先に入荷しました。 Unabomber(ユナボマー、アメリカの天才数学者でテロリストTheodore John Kaczynskiの通称) と背中の"Surrogate Activity"(代理活動-Unabomberマニフェストより)、Right to be forgotten"(忘れられる権利)やネットカリカチュアなど、コレクションに通じるメッセージが各ピース...